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迷い竹林の中、えーりん実験室の地下にはすっきりルームというものがあった そこにはゆっくりたちが集められていた 「こわーい化け物のお部屋」と可愛らしい文字で書かれた部屋に 八意永琳は入っていく ここはゆっくりたちのストレスに対する抵抗力を見る施設 ゆっくりたちは地上の実験室で何かしら粗相をやった事の罰としてここに連れて来られる 「ちかのへやにはこわいばけものがいる」 ゆっくりたちの宿舎でそんな噂を少し流してやると 噂には尾が付き鰭が付き、ゆっくりたちにとって地下の部屋に連れて行かれる事は最大の恐怖となっていた 薄暗くだだっ広い部屋 時折、なにかの呻き声がし、大きな足音、何かが壊れるような音がする 足音ともに地面は揺れ、何かが壊れる音と共に風が吹く その中を永琳は歩いていく 永琳はその化け物の正体を知っているからだ 河童に作らせた音響設備、揺れる床、送風機 自分の後ろで大きな音がする 永琳はゆっくり歩いているので後ろから走ってくるゆっくりまりさに追い抜かれる 「おねーさん、ゆっくりしてたらたべられちゃうよ。ゆっくりいそいだほうがいいよ」 ゆっくりまりさは気が動転して矛盾している発言を繰り返す 「いいのよ、私はゆっくりしていくから。あなたは慌ててるのね」 永琳はニッコリゆっくりまりさに答える 「ゆっ?!まりさもゆっくりしてるよ!!」 「そう?でも、来てるわよ」 ズドン、また大きな足音がして床が揺れる 「ゆっ!ま、まりさはゆっくりにげるね」 「大変ね。そんなに慌てて」 絡んでくる永琳の言葉にゆっくりまりさはどうしても絡み返してしまう 「あわててないもん!!ゆっくりだもん!!」 逃げたいけど、慌ててると言われるのは嫌だ さっさと逃げたいけど、ゆっくりもしなければ行けない 化け物の音は近づいてくる 「だまれだまれよ。ゆっくりにげるよゆっくりいそいですばやくゆっくりにげるんだよ」 言ってる事もだんだんおかしくなる 「急いで素早く逃げるのね。まりさは偉いわ。ちゃんと化け物の怖さを知ってるもの」 もうゆっくりまりさは恐怖と怒りのあまり泣き出している 近づいてくる化け物、ゆっくりしていない自分の現状 あまりのストレスからかゆっくりまりさは何度も餡子を吐き出す 「さっ、まりさ。早く逃げて、化け物が来ちゃうわ」 「ゆっくりゆっくり」 「いいえ、怖い化け物がやってくるわよ」 「いそいでにげるよ」 「あら、あなたはゆっくりできないの?」 何か喋るごとに口から餡子が出てくる もうこのゆっくりまりさはダメだろう 随分と頬がこけてきた。あとは化け物の恐怖に任せて別のゆっくりを見に行こう 永琳が次に見かけたのが比較的怪物の音から遠い場所にいるゆっくりれいむ 「こんばんは、お食事中かしら」 「うん、おねえさんもゆっくりしていってね!!」 「あら、お言葉に甘えさせてもらうわね」 永琳はゆっくりれいむの隣に腰掛ける ゆっくりれいむが食べているのはゆっくりパチュリーだ この部屋にもちゃんとエサは支給される しかし、化け物の音に怯え動けないものはなかなかエサにありつけない 「何を食べているの?」 「ゆっくりパチュリー」 珍しい子だと永琳は思った。普通なら共食いはやってはいけない行為 もしやってしまったとしても報復を恐れてそれを口外する事は滅多にない 「お友達じゃないの?」 「うん、でも、ゆっくりパチュリーのぶんまでれいむがゆっくりいきてあげるからいいの」 「そんな事できるの?」 「うん、れいむゆっくりかんがえてわかったの、ばけものがここにずーっといられるりゆう」 「ゆっくり聞かせて」 「うん、ばけものはゆっくりをたべてるからゆっくりながくいきられるの」 「それで」 「でも、ゆっくりパチュリーはゆっくりをたべないからゆっくりすぐしぬの」 わあ、なんて子なの、ゆっくりなのにここまでの宗教観に達してる 永琳はそのゆっくりれいむを抱きしめたくなったが、我慢する 「じゃあ、あなたも化け物みたいにゆっくりを食べればゆっくり長く生きられるの?」 「うん、そうだよ。ゆっくりわかった」 死のストレスから開放されたゆっくりれいむのは嬉しそうで ゆっくりパチュリーをもぐもぐ食べていた 「じゃあ、お姉さんは行くわね」 「うん、れいむはまだここでゆっくりしていくね」 「ゆっくりしていってね」 「うん、ゆっくりしていくよ」 次に永琳が見つけたのはゆっくりパチュリーだった 「あら、こんばんは」 ゆっくりパチュリーは答えない 「お隣いいかしら?」 無言のゆっくりパチュリー 「お邪魔するわね」 ゆっくりパチュリーの隣に腰掛ける 「しってるのよ。ぜんぶゆっくりしってるのよ」 消え去りそうな声でゆっくりパチュリーが何か言っている 「しってる。そうこれはゆめなのよ。ゆっくりゆめをみているのよ」 「ふふふ、これは現実よ」 「ほら、ほらまたゆめがはなしかけてきたわ。ゆっくりだますつもりね」 その後もゆっくりパチュリーは「しっているしっている」と何度も繰り返している 夢と現実の区別が付かなくなっているのか、それともただ現実を否定したいだけなのか 「いつまで夢を見てるの?」 永琳の言葉に今までぶつぶつ喋っていたゆっくりパチュリーの声が止まった そして、ゆっくりパチュリーはカタカタ震えだした 「おわらないおわらないおわらないおわらない!!」 「ゆめがおわらない。おわって。ゆめのなかでゆっくりしたくない!!」 「げんじつでゆっくりしたい!!げんじつでゆっくりしたいよ!!!」 「おわらない!!ゆめがゆっくりしてておわらない!!」 錯乱したゆっくりパチュリーは何度も壁に自分をぶつけ始めた 「めざめて!!ゆっくりめざめて!!はやく!!」 「おわっちゃう!!わたしのじかんがゆっくりおわっちゃう!!」 「ゆめの、こんなゆめのなかでわたしのじかんがゆっくりおわっちゃうよ!!」 動かなくなったゆっくりパチュリーをもって永琳は先ほどのゆっくりれいむの所に戻った 「あ、おねえさん、おかえり。ゆっくりしにきたの?」 「うん」 「おねえさんはゆっくりできるひとだから、れいむだいかんげいだよ」 「あら、嬉しいわ」 「こんどはおねえさんのぶんのゆっくりもよういしておくね」 「そう、楽しみにしてるわ」 ゆっくりれいむが永琳に抱きかかえられたゆっくりパチュリーを見つける 「あ、ゆっくりパチュリーだ」 「食べる?」 「んー、いらない」 「もうお腹いっぱい?」 「んんー、ゆっくりしてればまたおなかすくから」 「じゃあ、どうしていらないの?」 「だって、そのゆっくりパチュリー、じかんがないからしんじゃったこだもん」 「ああ、だから食べても長生きできないのね」 「うん」 永琳は立ち上がる 「もういくの?ゆっくりしていけばいいのに」 「いいえ、私は化け物が怖いから」 「そうだね」 永琳は「こわーい化け物のお部屋」から出てくると、鈴仙を呼びつけた 「どうでしたか?」 「面白い子はいたんだけど・・・」 永琳は残念そうに首を振る 「鈴仙、河童達の所へ行って除湿機を作ってもらいなさい。あと薬品を散布するための機械を」 「え、どうしてですか」 永琳は研究室のパソコンをカチカチ弄ると「こわーい化け物のお部屋」の監視ビデオの映像をディスプレイに映した 「この部屋の・・・この辺りだったかなー・・・」 カメラは方向を変えズームを変え、ゆっくりれいむを映す 「うぇ!!」 鈴仙は思わず目を逸らす 「この子、面白い宗教観を持っていたんだけど、これじゃ、そう長くは持たないものね」 ディスプレイに映し出されたのは黒ずみカビが生え髪も半分ほど抜け落ちた醜いゆっくりれいむの姿だった ~あとがき~ 食パンがカビてて驚きました それ以上にwikiで自分に名前が付いてた事に驚きました 続きへ このSSに感想を付ける
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※これはfuku2324.txt「ゆっくり奇々怪々(上)」の続きです。 独自解釈・設定ありです。 長いので注意。 翌日、鶏小屋には人だかりが出来ていた。 10匹からなる鶏達が、血と羽を残してこつ然と消えていたのである。 何かに喰い散らかされたのは明白だ。 「け、慧音様、これは・・・。」 男の顔は蒼白だ。後ろに控える妻、村長も険しい表情。 慧音は鶏小屋の中に入り、一通り惨状を見渡すと、言った。 「・・これがもし、妖怪や熊の仕業だというのなら、網や戸が破られているのが 普通だ。しかし、見たところこの小屋には目立った損傷は無い。あるとすれば」 と、鶏小屋の仕切りの接地部分を指差す。 そこはわずかに土が掘られており、隙間が空いていた。 「犯人が狐ならばこの穴があれば納得できる。だが、 狐と言えど一晩で鶏を10匹も腹に入れることは出来ん。」 「つ、つまり・・・。」 男の顔色は蒼白を通り越して土気色だ。 「うむ、君の言ったことは間違いでもなさそうだ。」 その後、慧音は村長に村人を広場に集めるよう頼んだ。 そこで自身の口から、村長の息子を襲い、鶏を食い荒らしたものが 同じモノによる仕業で、それはゆっくりである可能性が高いことを説明した。 当然、村人達は戸惑った。 この村は慧音が驚いたように、ブリーダーを筆頭としてゆっくりとの共存関係が うまく成り立っていることもあり、ゆっくりへ好意的な見方をする者が多い。 毎日熱心に働くれいむやのうかりん達の姿を見ていればなおさらだ。 「・・・・ゆぅ、残念だけど、お兄さんみたいな人達に色々教えてもらってない ゆっくりたちの中には、人のものを盗ったりする悪いゆっくりはいるよ。」 ざわつく村人たちの中で、ブリーダーに抱えられたれいむが発言する。 「・・・私も、畑を荒らされた。」 続いてブリーダーの足下にいるのうかりん。 「でも、鶏さんを食べちゃったり、人間に噛み付くゆっくりにはまりさ達会ったことないよ。」 最後にまりさが発言する。三匹の発言は村人達の気持ちを代弁していた。 「・・私としても、ゆっくりがこのような事を起こしたとは 考えたくない。お前達のようなゆっくりを見ていれば、なおさらだ。」 そう言って、ゆっくり達を勇気づけるように笑いかける。 「だが、この状況を放っておく訳にもいかん。よって、本日からこの 村を中心とした一帯を調査したい。村の若衆、協力してくれるか?」 そういうことならばと、続々と手が挙がっていく。 「慧音様、僕も一緒に行きます。」 ブリーダーの青年も手を挙げる。 「いいのか?」 ゆっくりを殺すことになるかもしれないんだぞ、と言いかけて、やめた。 ブリーダーという仕事はゆっくりをただ愛でて育てるだけの職業ではない。 時には悪いゆっくりを懲らしめ、場合によっては駆除するという役割も持っている。 青年の目は真剣だ。のうかりん達の姿を常に見ているからこそ、 この件に対する気負いも人一倍強いのだろう。 そこまで思い至った慧音は言葉を引っ込めた。 「考えれば、村でお前ほどゆっくりに詳しい者はいない。頼りにさせてもらうぞ。」 「ええ・・・れいむ達、行ってくるよ。」 「ゆっ!ゆっくり気をつけてね!!」 こうして、慧音、ブリーダーの青年を先頭に、調査隊は出発した。 「・・・・見て下さい慧音様!!ここにも。」 調査隊は男が襲われた場所よりも森側に来ていた。 叫んだ若衆の一人が指差すのは、一本の木の根元だ。 そこには、何かに齧られたような傷跡がついている。 「ここにもか。」 出発し、襲われた現場に着いたあたりから、木にこのような傷跡がつき始めた。 「熊などは自分の縄張りの印として爪痕を残すらしいが、 これは明らかに爪痕ではない、強いて言うならば歯形だ。」 爪が使える動物ならば、わざわざまずい木に噛み付く事は無い。 だが爪が使えないモノだとしたら? そう、例えば、ゆっくりのような。 ここにきて、犯人はゆっくりであるという確信めいたものが慧音、若衆達にはあった。 青年も、険しい顔で現状を分析している。 「・・・可能性は高いでしょうね。」 「だろうな。では、もっと奥に行こうか。」 進んで行く慧音の前に、茅葺きの屋根が見える。 「あそこにはどなたか住んでおられるのか?」 青年に問う慧音。 「ああ、あの家にはおじいさんが一人で住んでいますよ。 ブリーダーとしての先輩にも当たる方で、仕事を始めた 頃はとてもお世話になりました。 ・・・あまり人付き合いが得意な方ではないですから、この 場所に一人で住んでいるんですよ。あの方に聞けば、 今回の事に関して何かわかると思いま」 「待て!!」 「え?」 「気づかないか?・・・このにおいに。」 「・・・・・これって・・・!」 家から漂ってくるにおい。 それは何かが腐ったようなにおい。 「急げ!!」 慧音は家に向かって走り出す。 続いて走り出す青年達。 家が近づいてくる。畑を突っ切る。 雑草が伸びている。おかしい、畑の世話を怠るような人じゃなかった!! 青年の鼓動は早鐘のようだ。走っているからではない。 慧音は戸まで辿り着き、施錠されていない戸を思い切り開いた。 青年は中に入ろうとして、慧音の背中に阻まれる。慧音が入り口で立ち尽くしていたからだ。 「先せ・・・・い・・・・?」 見てしまった。 荒らされた家具。 腐りかけた食糧の残骸。 その真ん中には。 「・・・・う、うげええっ!!」 先頭二人の間から中を見た若衆が、口を押さえてよろめく。 「何という事だ・・・。」 部屋の真ん中には、腐敗し、所々が欠損した死体が転がっていた。 「あ・・・・そんな・・・・。」 青年は思わず床に膝をつく。 慧音はかがみ込み、青年の方を軽く抱く。 「・・・すまん、だがこの状況だ。このご遺体は、この家の方か?」 「・・・・・はい、服装から見て間違いありません。」 「わかった・・。」 慧音は遺体に近づくと、手を合わせた。 と、どたどたと誰かが走る音が家に近づいてくる。 駆け込んできたのは、万が一の時に備え村に残った若衆の一人だった。 息を切らし必死な様子の彼に、慧音が振り返って尋ねる。 「どうした?」 若衆は絞り出すように言う。 「大変です・・・・村に・・・・化け物が・・・!」 村は、若衆の呻き声で満たされていた。 ある者は木に叩き付けられ。 ある者は腕や足を齧られ。 皆が身動きが取れないほど痛めつけられていた。 その中心には。 「ゆっへっへ・・・・ありす、やっぱりにんげんなんてたいしたことないんだぜ」 「そうね、とかいはのしたでれいぞくするべきいなかものたちなんてしょせんこんなていどよ」 人間の腰までの大きさのゆっくりまりさとありすが、倒れ伏した若衆の一人の背中にのしかかっていた。 「う・・・う・・・。」 「ゆ!!みてありす、このにんげんうーうーうなってるぜ!!」 「まるであのはねつきぶたまんみたい。おお、ぶざまぶざま!!」 そう言って飛び跳ねながら、大口を開けて笑う二匹。 大きく開いた口からは、血で薄汚れた牙が。 よく見れば、その体は筋肉組織のようなものが表皮の下にあることを 伺わせる隆起があり、更にその瞳は爬虫類のように縦長だ。 ただのゆっくりではない。 いや、もはやゆっくりと呼んでいいのか。 ここにいるのは、人を喰らう妖怪と何ら変わりのない存在であった。 「・・・・最悪だ、こんな時間に村まで来てしまうなんて・・・。」 齧られた肩を押さえながら、村長の息子は二匹の前にいた。 調査隊が行ってしまってる時間である事が災いした。村に残っている男でかろうじて 動けるのはもはや彼一人。女子供、老人は絶対に家から出ないように言ってある。 「まりさ!!あいつこのあいだまりさがかみついたにんげんだよ!!」 「おじさん、せっかくにがしてやったのに、またたべられにきたの? ばかなの?しぬの?しなすよ?ユッヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘヘッ!!」 「で、出て行け!!化け物ども!!!」 「これだからいなかものは!!わきまえなさいよ」 「おじさん、いますぐにくをもってくるんだぜ。おんなやこどものにくがいいんだぜ!! さもないと、おじさんのあたまからばりばりかじってやるんだぜ!!」 「とかいはにふさわしいきのきいたむすめをつれてきなさい!!それで、すっきりー!!! させてあげる。ありすのぺにぺにでよがりくるわせてアゲルゥゥッ!!」 ゆっくりがただ食糧を要求するのでなく、女子供を喰い、犯そうとしている。 その事実に、男の背筋にぞわっとした感覚が走る。 「そ、そんな要求は、飲めない!」 男は今にも逃げ出したい気持ちを抑え、手にしたゆっくり撃退用の棍棒を握り直す。 「じゃあしかたないぜ、おじさんからむしゃむしゃしちゃうんダゼェェェ!!」 飛びかからんとするまりさ。 「ゆ、まってまりさ!!」 「ゆぅ・・・?」 と、二匹の動きが止まる。 「お前・・・。」 男と二匹との間に、のうかりんが現れた。 男を二匹から守るように手を広げ、二匹を視線で射殺さんと睨みつけている。 「まりさ!!こののうかりんは!!」 「おもいだしたんだぜ、あのくそじじいのところのなんだぜ!!」 「・・・おじいさんにいっぱい懲らしめられたのに、まだわからないの?」 「わかるわけがないんだぜ!!くそじじいはみのほどしらずだったんだぜ!!」 「そうよ!!だからわたしたちあいつを」 「おじいさんに何をしたの!!!!」 普段寡黙なのうかりんの大声に、男は驚いた。それは二匹も例外ではないようだ。 「・・・ゆ、うるさいんだぜ」 「・・な、なにをしたかって・・・ねぇ?ゆっふふふ♪」 のうかりんの剣幕に多少気圧されながらも、二匹は不敵な表情を崩さない。 「でも、ひとつだけおしえてやるんだぜ♪」 「・・・・・・!!」 「あなたのだーいすきなくそじじいは、もうしんだのよ♪」 「「ゆっははははははははハハハハハハハハハッ!!」」 のうかりんは二匹に向かって突進していた。 「ブザマァ!!!!!」 笑っていたまりさはのうかりんの突進を真正面から受け止め、逆にはじき飛ばした。 男の遥か後方、家の壁に激突し、崩れ落ちるのうかりん。 「のうかりん!!くそ!!」 「ゆぅ、まりさ、あののうかりんにはきょういくてきしどうがひつようだわ」 「あいつにはさんざんいたいめにあわされたんだぜ。ゆっくりすっきりさせてからころしてヤルンダゼエェ!!」 二匹は牙を剥き出しにし、のうかりんへ突進しようとした。 しかし。 「ゆぅ・・・ありす・・・?」 「ええ・・・まりさ・・・しおどきのようね」 と、二匹は用心深く辺りを見回すと、のうかりんや男がいる場所から反対方向の家の屋根へと一瞬で跳躍した。 「きょうのところはこのくらいでかんべんしてやるんだぜ!!!」 「こんどもりへくるときはみつぎものをもってきなさい!!かんげいしてあげるわ!!!!」 ゆっくりらしからぬ洪笑をまき散らしながら、二匹は去っていった。 そこへ。 「大丈夫か!!!?」 調査隊が、慧音を先頭に村へ帰ってきたのだ。 村は、負傷者の手当に追われていた。当初は逃げた二匹を追うべきという 意見も出たが、慧音が深追いを制し、体制を立て直すことを優先したのである。 手当の傍ら対策本部としておかれた村長の家には、男、青年、慧音の三人が集っていた。村長は手当の指揮をしている。 「そうですか、森の方ではそんなことが・・・・。」 「あの化け物ども、おじいさんだけじゃなく、村のみんなまで・・・!!」 青年は激昂し、畳に拳を叩き付けた。 「・・・・・。」 慧音は考えていた。 目の前で被害が出てしまった以上、犯人がゆっくりであることは確定した。 しかし。 普通では考えられない身体能力をもったゆっくり。しかも、あろうことか人の肉を要求したという。 何故、そのようなモノが現れたのか? ふと、開かれた縁側の方へ目を向けると、庭でのうかりんが月夜の下、手にしたじょうろに目を落とし、立ちすくんでいた。 それを遠巻きに心配そうな目線をおくるれいむ、まりさ、ちぇん。 「・・・・彼女は、あのご老人のところで育てられたそうだな。」 「はい。」 のうかりんがまだ幼いゆうかりんだったころ、あるゆっくりの群れによって家族を殺された。 いくら他のゆっくりより優れた能力を持つゆうか種でも、圧倒的な数の優位は覆せない。 森の片隅で花を育てていた一家に襲いかかった賊は、ゆうかりんの父親を圧殺し、母親を犯し尽くして殺した。 二匹に素早く木立の中に隠されたゆうかりんは、全身を貫かれるような思いでそれを見ていた。 何度飛び出してやつらと刺し違えようと思ったか。 しかし、両親の願いは、彼女に生きてもらうこと。ここでやつらに踏みつぶされることではない。 そう悟るほどに聡明だったゆうかりんは、涙を振り払いながらその場から逃げようとした。 しかし、運悪く見張りをしていた一匹に見つかり、捕らえられてしまう。 大れいむにふみ殺されようというその時、群れは周辺から悲鳴に包まれていった。 ブリーダーが組織した討伐隊だった。 助けられたのうかりんは、そこでおじいさんに会った。 怖いと聞かされてきた人間。 初めての人間は、勇気づけるような笑顔だった。 おじいさんに引き取られ、育てられたゆうかりんはすくすくと成長し、畑の作り方も覚えた。 彼女は二度と畑荒らしの駄ゆっくりどもに負けないよう、鍛錬を欠かさなかった。 ゆうかりんはおじいさんがいなくとも多くのゆっくりを蹴散らせる程に強くなった。 おじいさんに育てた花や野菜を褒められ、自分が強くなっていくと感じる日々。 ゆうかりんは幸せだった。 やがて体ができ、のうかりんになると、おじいさんは村の新米ブリーダーのところで暮らすよう言われた。 おじいさんは言った。お前はもう一人前だと、お前の育てる花で今度は大勢を笑顔にするんだよと。 のうかりんは寂しさを覚えたが、いつでもおじいさんには会えるのだし、多くの人に自分の花を見てもらいたくもあった。 こうして、のうかりんは村で暮らすようになり、今に至る。 「そうか・・・・辛いだろうな。」 「・・・ええ、彼女のもう一人の父親とも呼べる人でしたから。」 「君も大丈夫か?」 男が青年に尋ねる。 「・・・泣くのはこの件が片付いてからにします。それで、慧音様。」 「うむ、のうかりんから情報があったそうだな。」 「はい、まず、あの二匹のゆっくりに関して、やつらにはのうかりんが以前会ったことがあるそうです。」 のうかりんがまだおじいさんの畑を守っているころ、家族らしきゆっくりの一団が畑を襲撃した。 情けはかけなかった。 親らしき二匹以外は全て踏みつぶし、残った二匹ーまりさとありすも散々痛めつけて動けなくした。 ぼこぼこになった体をよじりながら悪態をつくさまを見て、のうかりんははっとした。 こいつらは、のうかりんの親を殺した群れの一員だったと。 無論、当時見かけた姿より大きくなっていたが、顔に張り付いた下衆の表情は忘れようが無かった。 討伐隊に狩られた時はまだ小さかったこともあり、混乱に乗じて逃げ延びたのだろう。 憎い仇の一員。しかし、わめき散らす二匹を見て、のうかりんは最早哀れみしか感じていなかった。 自分はあれからいろんなことを学んだ。だが、こいつらは違う。学べなかったのだと。 このことをおじいさんに報告すると、温厚な顔を憤怒の形相に変えて、更に二匹を痛めつけた。 泣き叫び、しかしなお悪態をつくまりさ達に、おじいさんは彼らを監督下におき、性根を叩き直すと宣言した。 それが、のうかりんが村に来る直前の出来事である。 「では、あいつらは最近までおじいさんの家で監督されていたということか。」 「そのようです。」 「・・・・・。」 二人の会話を聞きながら、いまだ慧音は考えていた。 あの二匹の出自はわかった。 しかし、やはりわからない。 何故、おじいさんを、人一人殺せるようなゆっくりが生まれたのか。 「原因はわからないが、あいつらがあんな化け物になって、おじいさんが最初の犠牲になった・・・。」 「・・・・さっきご遺体をあらためましたが・・・やはり欠けていた部分はやつらに齧られていたようです。」 そう言うと、青年は顔を伏せ、歯を食いしばるような表情をした。 慧音は思った。耐え難いだろうと。恩師が亡くなり、それもゆっくりに喰われたのが原因で。 ゆっくりに喰われた。 ゆっくりが、人の肉を、喰った。 「ん、慧音先生、どうしたんですか。」 はっと顔をあげた慧音に、男が尋ねる。 「・・・少し、長話をしていいか?」 「君たちは、妖怪が仙人の肉を喰らったらどうなると思う?」 「・・・・?」 「え?」 姿勢を正した慧音の第一声がそれだ。 「・・お前には寺子屋で教えた筈だがな。」 「へ?あ、ええと。」 青年は記憶を辿る。 「確か、妖怪としての格が上がって、強くなるんじゃありませんでした?」 「その通り。では、獣が仙人の肉を喰らった場合はどうなる?」 「妖獣になることがある、でしたよね?」 「そうだ。」 「あの、慧音様?それと今回の件は」 「気づかないか?」 「?」 怪訝な顔をしている男の横で、青年は言う。 「今回ゆっくりは、人間の肉を喰った・・・?」 「そうだ。」 「・・・・!!まさか。」 獣+仙人の肉=妖獣 ゆっくり+人間の肉= 「ゆっくりが、人間の肉を喰らって、妖怪になった・・・?」 青年が、自分の言ってることが信じられないといった調子で、呟く。 「・・・私も完全には信じられないがな。傲慢な言い方になるかもしれんが、客観的に見て ゆっくりにとっては人間とは我々にとっての仙人のような存在だ。その体を取り込む ことで生物としての格が上がるのは、むしろ自然なのかもしれん。」 「し、しかし、それではどの時点でやつらが化け物になったのかわかりませんよ。 おじいさんの家に閉じ込められていたわけですし、人間の肉を喰う機会なんて。」 男が戸惑ったように意見する。 「やつらはおじいさんのご遺体を齧るまでは、ただのゆっくりだったのだろう。」 「そ、それでは、それ以前におじいさんは亡くなっていたと・・・・?」 「・・・・おじいさん、胸が悪かったんだよ。」 「のうかりん・・・。」 いつのまにか縁側にはのうかりんがいた。 三人に向かって更に口を開く。 「心配かけたくないからって、村の人には誰にも言ってなかったんだけど、おじいさん 怒ったり重いもの運んだりした後はたまに胸を押さえて苦しそうだった。だから、多分 あいつらを懲らしめてる最中にすごく怒ってしまって、それで苦しく・・・・・っ。」 のうかりんは耐えられなくなったというように両手で顔を覆う。 青年のうかりんに近寄り、軽く抱き寄せる。 「恐らくは、このようなことだったのではないか。」 慧音が口を開く。 その日、おじいさんは監視下においていたまりさ、ありすと対峙していた。 散々罰を与えても直らない二匹の性根。二匹はその日も傲慢な態度を取り続けた。 おじいさんは、いつものように罰を与えた。 いつもなら泣いて謝るところまで来て、その日二匹はいまだ罵詈雑言をやめなかった。 愛娘と言っていいのうかりんの仇ということもあり、おじいさんは激昂してしまい、更なる罰を与えようと 立ち上がった。 そこで、限界が来た。 おじいさんは胸をおさえて苦しみだし、床に倒れ伏す。 驚く二匹。もしくは自分達の力だと勘違いしたかもしれない。 周りに人もいなく、助けを求めることも出来ず、やがておじいさんは息を引き取った。 残された二匹は狂喜したに違いない。憎い相手が動かなくなってくれたのだから。 二匹は好き放題部屋を荒し、食糧を喰い荒らした。 しかし、食糧はすぐに尽きてしまった。 更に、元々二匹を逃がすまいと厳重だった戸締まりは、二匹が外へ逃げることを許さない。 次第に衰弱していく二匹。 このまま朽ちるのか。 いや・・・・朽ちるのは、おじいさんの体の方が先だった。 腐敗し、形が崩れた遺体へと目を向ける二匹。 贅沢は言っていられない。 彼らにとって、目の前にあるのは人間の体ではなく、腐りかけの肉だった。 二匹は遺体へのそのそと近づき。 口を開け。 齧り、ついた。 やがて、戸は破られ、二匹の化け物・・・・妖ゆっくりは、野に放たれた。 続き 無理矢理な解釈で混乱させてしまったかもしれません。やっぱもの書くのって難しい・・・・。 予想以上に長くなってしまい、上下のつもりが上中下構成になってしまいました。 続きは3、4日中にはあげたいと思います。 ゆっくりゃバーガーの人 このSSに感想を付ける
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※1部虐待されないゆっくりを含みます ※1部俺設定を使っています ある草原で遊んでいるゆっくりの家族がいる。 チビゆっくりがわらわらと10匹。 少し大きめの子ゆっくり(お姉さんゆっくり)が5匹。 そしてこの家族には両親がそろっていた。 片親はゆっくりまりさ。 もう片方は、珍しいことにゆっくりアリスだ。 「ゆーゆー!」 「ゆっくりちていってね!」 「はーい、あかちゃん。ごはんあげるー」 お姉さんゆっくりはもう自分でエサが取れるので、自慢ついでに赤ちゃん達にエサを分け与えている。 もうそろそろ赤とんぼが飛び始めていて、お姉さん達はそれを何匹取れるか競争しているようだ。 そんな子供達を、寄り沿いながら暖かい眼差しで見守る二親。 「とかいはのこどもたちもおおきくなったわね。」 「もうすぐすだちができるこもいるぜ」 2匹とも十分親としての貫禄があり、そこには幸せそのものの風景があった。 ふと、子ゆっくりの1匹が向こうから来るゆっくりに気付く。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆ?あなたはゆっくりできるひと?」 「ゆっ。ゆっくりできるよ!なかまにいれてね!」 「ゆー。いっちょにあそぼー」 やってきたのはゆっくりまりさ(成体)だった。 こちらには「だぜ」口調はついていないようだ。 そのまま子供達と意気投合し、遊び始める。 「ゆ?それなーに?」 後から来たまりさの帽子には何か模様がついたバッジがつけられていた。 「これ?にんげんのいるばしょでひろったの!」 「ゆ!すごいねー!」 「ゆうかんだねー!」 特別なものがあると仲間を作りやすい。 そのまま完全に打ち解けたゆっくりまりさは、日暮れまでずっと子供達と遊び回っていた。 そろそろ日も落ちかけ、捕食種が出そうな時間になると、親は子供達を集めて帰る仕度をする。 「ゆー!みんなあつまってね!」 「おうちにかえってごはんにするよ!」 子供たちがわらわらと集まってくる中、ゆっくりアリスがバッジのゆっくりまりさに声をかける。 「よかったら、とかいはのありすがでなーにしょうたいしてあげるわよ」 「ほんとう!? じゃあ、おれいにたべもののいっぱいあるところをしょうかいするね!」 「ほんとか? ふゆのたくわえがふえるぜ!」 「おねーたんはゆっくりできるひとだねー!」 夜、草原の近くの森の巨木の洞にて。 「・・・で、すんでたとこがつぶれちゃったの?」 「そうだよ!あのちかくはもうすむところがないから、こっちでさがしてたんだよ!」 「じゃあ、ふゆのあいだだけうちにいてもいいぜ!」 「ゆ?」 「まりさのおしえてくれたえさばのおかげで、たくわえもふえたしね!」 「ゆー!」「おねーちゃんもいっしょー!」 こうして、この1家に新しい仲間が加わった。 親をなくした子供やはぐれゆっくり等がほかのコミューンに育ててもらうのは特に珍しいことでもない。 両親ともにいる家族に成体が、というのは少し珍しいが、労働力としては申し分ない上に子供たちの相手役にもなってくれるので誰も不満は無かった。 加えて、バッジのまりさの情報提供でこの1家は1匹増えようがどうでもいいほどの蓄えを手に入れたのである。 夜などたまにふらっといなくなったりもするが、すぐに戻ってくるので誰も気に留めなかった。 親まりさは専ら食料を獲りに、親アリスは専ら家事全般を、バッジのまりさは状況に応じてどちらかの手伝いを。 このコンビネーションで、この1家は普通の家族よりかなり楽な生活ができていた。 木の葉も全て落ち、早い動物はもう冬眠を始める季節のある夜。 この1家は、食後の団欒をゆっくりと楽しんでいた。 と、何かが入り口を破って進入してきた。 「ゆっくりー!きょうはここでやすみましょう!」 「とかいはのありすはもうすこしごーかなところがいいのだけどね」 ゆっくりアリスである。 しかも5匹で群れを成している。 「ゆ!ここはまりさたちのおうちだよ!」 「ゆっくりでていってね!」 「ここでゆっくりしないでね!」 あわてて追い返そうとする先住民達。 しかし、 「とかいはのありすをでなーにしょうたいするのはとうぜんでしょ!」 「とかいはのありすはぷれぜんとももってきたのよ!」 「ありがたくうけとりなさい!」 そんなことを言ってわずかばかりの木の実をばら撒き、自分たちは貯めてあった冬用の蓄えをガツガツと平らげていく。 「ゆー!やめてね!」 「それはふゆのごはんだよ!かってにたべないでね!」 ところが、 「とかいはのありすはもっといっぱいごはんのあるところをしってるわよ!」 「こんなのよりもっといっぱいあるのよ!」 「とくべつにおしえてあげるわ!」 得意げに話すアリスたちに興味をそそられるゆっくりたち。 「ゆ?もっといっぱいあるの?」 「じゃあふゆはもっといっぱいたべられるね!」 「いつもよりらくになるぜ!」 しかし、賢い親アリスは黙っていない。 こいつらをここで入れてしまっては、子供たちまで発情したアリスの餌食となり、みんな干からびて死んでしまうだろう。 「ゆ!そんなとこあるわけないよ!みんなだまされちゃだめだよ!」 「ありすはだましてなんかないよ!いってみればわかるよ!」 「いかなくていいからゆっくりでていってね!」 こいつは篭絡できないと踏んだのだろう。 リーダー格の一回り大きいゆっくりアリスが 「ゆっくりできないいなかもののありすはでていってね!」 そしてほかのゆっくりアリスたちも便乗し、 「ゆっくりできないやつはゆっくりしね!」 侵入者達は、親アリスに体当たりを仕掛け始めた。 「ゆっ!? ゆっくりやめてね!ゆっくりでていってね!」 「とかいはのありすのいうことをきかないやつはゆっくりしね!」 親まりさはと言えば、 「ゆっ! ゆっくりやめるんだぜ!」 「あいつはごはんのあるところにいきたくないっていったんだよ!」 「ぜんぜんとかいはじゃないよ!」 「ゆっくりできてないわるいゆっくりだよ!」 「ゆ? ゆー・・・」 親アリスは袋叩きにされながらも、まりさが助けてくれる事を信じていた。 まりさならこんなやつらきっと蹴散らしてくれる・・・! きっと全員追い出してくれる! しかし、なかなか助けに来ないのでふと見ると、なんと愛するまりさはアリスにのしかかられて喘いでいた。 「まっ、まっ、まりざああぁあ!!ぎもぢいいでしょおおおぉぉお!?」 「ゆ゛ううぅうぅっ!!ぎもぢい゛い゛ぜえ゛え゛え゛ぇぇえ゛ぇえ゛!!!!」 「ま・・・まりさー!!」 自分の見たものが信じられず、思わず名を呼ぶアリス。 しかし、 「あんなやつよりとかいはのわたしのほうがきもぢいいでしょおおおぉぉぉ!?!」 「ゆ゛ぅぅう゛う゛う゛う!!ぎもぢいいぜええぇぇぇえ!!あのありすはあんまりすっきりできなかったんだぜえええぇぇえ!!」 「あんなやづよりわだしのほうがゆっぐりでぎるよおおおぉぉぉ!?」 「ゆー!・・・ゆっくりできないやつはでていくんだぜえええぇぇ!」 これが、最愛のパートナーの自分に対する返答だった。 アリスの中で踏ん張っていた何かが弾け飛び、同時に体の踏ん張りも消えたアリスは一気に外へ放り出された。 「ゆぐぅっ!?」 地面に叩きつけられ、土を引っかぶってしまう。 私の何がいけなかったんだろう・・・ 家族のために極力交尾は我慢して、今まで子供達と一緒にうまくやってこれていたのに・・・ まりさも欲求不満だったのだろうか・・・ しかし自分の欲望のままに交尾ばかりしていたら遠からず家庭が崩壊していた・・・ 自分はあの家族でずっとゆっくりしていたかっただけなのに・・・ 暖かい我が家の中では、すでに自分のことなど忘れたかのように和気藹々とした雰囲気が漂い始めている。 と、考えが全くまとまらずただ呆然としているアリスの下へ、バッジのまりさが駆け寄ってくる。 「ゆー!みんないまはおかしくなってるよ!ちょっとかくれてたほうがいいよ!」 そういって、ピクリともしないアリスを半ば引きずるようにしてどこかへ運んでいく。 「ゆー!しばらくここにいるといいよ!」 辿り着いたのは、そう離れていない岩間の洞。 入り口が狭いため風が入らず、地面には乾燥したコケが生え、天井の隙間から水が滴り水飲み場を作っている。 さらに、いつの間に用意したのか食料も大量に運び込んであった。 「ゅー・・・ゆう?」 コケに水を含ませ体を拭いてくれる感覚にふっと我に帰るアリス。 清拭が終わると、ゆっくりと自分に体をこすり付けてくるまりさ。 性的なものではなく、まるであやすようなその動きに、アリスの感情が今やっと爆発した。 「ああ゛あ゛あ゛ぁぁああっぁあ゛あ゛!!あ゛り゛ずの゛お゛お゛おっぉぉぉおお!!!」 1瞬で全てを奪われた悲しみと悔しさに号泣するアリスを、バッジのまりさはただ優しく撫で擦っていた。 「ゅー・・・ゅぅ・・・」 しばらくして、泣き疲れたアリスをコケの密集した部分に乗せ、バッジのまりさは 「じゃあいくね!」 と宣言する。 「ゅー・・・みんなをたすけてね・・・」 すでにアリスは夢うつつで、その言葉もただポロリと口からこぼれただけだった。 だから、その言葉に対する返事も夢と現実どちらで聞いたのかは分からない。 ただいつもよりはっきりと、 「無理だよ」 と・・・ 家に帰り着くと、すでに嬌宴は始まっていた。 親まりさに1匹、姉まりさ達に3匹、チビたちを潰して回ってるのが1匹・・・ 「ゆ゛う゛ぅう゛う゛ぅぅぅう゛っ!!や゛め゛でえ゛え゛え゛え゛ぇぇえ゛え゛ぇ!」 「まっ、まっ、まりざああああぁあ!!がわいいよおおおぉぉおぉお!!」 姉まりさたちは必死に抵抗しているが、さすがに発情したゆっくりアリスの、しかも成体を振りほどくことはできない。 親まりさはといえば、 「ゆふううううぅぅう!!んほおおおおぉっぉぉお!!」 「まりざああああぁぁああ!!んほおおおおぉお!!」 周りのことなど目にも入らずお楽しみ中である。 どうやらゆっくりアリスに負けず劣らず性欲の強いタイプだったらしい。 子供が目の前で犯され潰されているというのにおかまいなしだ。 普通、こんな場面に出くわしたゆっくりは恐怖で固まるか全力で逃げだす。 しかし、バッジのまりさは感情の籠もらない目でその光景をただ見つめていた。 そして、偶々近くで寄り添いながら震えていたチビゆっくり3匹をペロッと口の中へ放り込んだ。 そこへ、さっきチビゆっくりを潰しては食べていたアリスが、 「まっ、まりざああああぁああ!!」 突っ込んできた。 それをひょいとかわし、耳元で囁く。 「ありすはとくべつだから、とくべつなばしょであかちゃんつくらない?」 「とくべつ!?しょうがないわね、いってあげてもいいわ!」 なんと見栄が優先し、おとなしくついてきた。 背が高めの草が多い藪。 「まっ、まっ、まりざ!ここでするの!?とかいはのありすはこんなところじゃおきにめさないんだけど!でも、どうし・・・」 「ありす!!ちょっとうしろをむいて?」 「ゆ?」 いきなりの大声に、反射的に振り向くアリス。 「ふっ!」 その隙に、素早くアリスのカチューシャ(のようなもの)を剥ぎ取る。 「ゆ?なに?まりさなにしたの?」 「ゆー。ごみがついてたんだよ!とかいはのありすにはにあわないからとってあげたんだよ!」 「ゆっ!そうね!とかいはのありすにはにあわないわね!ありがとうまりさ!」 「いいよ!ところでありす!」 「ゆ?なーに?」 「よっ!」 体当たりで、アリスを後ろの草むらへ押し出す。 「ゆゆ?ゆ・・・ゆーーーーーーーー!!!!」 暗かったため、草むらに隠れて急な坂があることにアリスは気付いていなかった。 ころころと転がり落ちていくアリスには目もくれずに、バッジのまりさはまず親アリスを匿っている岩間の洞へと向かった。 「ゅー・・・ゅー・・・」 親アリスは熟睡している。ちょっとやそっとのことじゃまず起きないだろう 「んっ・・・ぺっ!」 「ゆぶっ!」 「ゆくっ!?」 「ゆぐん!」 口の中から転がり出るチビゆっくり3匹。 少しふやけてしまっているが、大丈夫、元気だ。 「聞きなさい。ここは安全だし、食べ物もいっぱいあるから何の心配もない。お母さんとしばらくここで隠れてなさい。」 「ゅ!わかったよ!」 「おかあたんをゆっくりさせてあげるよ!」 「おそとにはぜったいでないよ!!」 なかなか物分りがいい。 ゆっくりアリスはしつけが厳しいので、比較的賢い子が育つというが・・・これもその成果だろうか。 これなら大丈夫だろう。 岩間を出るといったん藪まで戻り、さっきアリスから剥ぎ取ったカチューシャを咥え、元の家へと向かった。 案の定さっきと何も変わってはいなかった。 1匹連れ出しても何も変わらない状況にも眉一つ動かさず、家の奥へと向かう。 カチューシャを咥えたままなのだが、誰一人として反応しない。 まりさが帰ってきたことさえ、いや、1度出て行ったことにさえ気付いているかどうか・・・ 姉まりさたちはまだ助けを求めていたが、特に誰を助けるでもなくチビゆっくりの死骸を淡々と片付け、奥の部屋で一人眠りについた。 翌朝。 全員まだぐっすりと眠っている中、姉まりさの2匹が蔓に覆われて死んでいた。 ゆっくりにしてはかなり早く起きて来たバッジのまりさは、何も言わずその2つを奥の部屋に引きずっていき、木の板をかぶせて隠した。 広間に戻ると、そろそろ全員起き始めていた。 親まりさはといえば、 「あかちゃんたちがいないんだぜ!?どこにいったんだぜ!?」 行為中の出来事は全く目に入っていなかったのだろうか、必死でチビゆっくりたちを探している。 姉まりさの数の減少には気付いていないらしい。 姉まりさたちは、 「ゆぅ・・・ゆー・・・・」 まだ昨日の疲れが抜けきっていないようだ。 「あかちゃんならまだつくれるよ!ま、まりざ!しよ!しよ!」 アリスたちは状況に全くお構いなしに迫っている。 バッジのまりさはそれらを横目で見ながら、入り口から外の様子をずっと伺っていた。 と、 「ひどいよまりさ!まりさのせいでゆうべはちっともゆっくりできなかったよ!ゆっくりあやまってね!!」 昨夜転がり落ちていったアリスが戻ってきた。 髪も体もぼろぼろだが、大きな怪我はしていないらしい。 「なにぼんやりしてるの!?さっさと・・・」 「みんな~!!へんなやつがいるよ~!!」 それを聞いてぞろぞろと出てくるゆっくり達。 「あ、ほんとだ。」 「なにもつけてないよ!へんなの!」 「なんだろうね?あいつ」 「な、なにいってるの?ありすはありすだよ!へんなのはみんなのほうだよ!!」 「ゆっくりしてないやつはゆっくりしね!!」 「ゆっくりできないやつはゆっくりしね!!」 早速始まるリンチ。 この速攻性はゆっくりアリスだからこそだろうか。 寄ってたかって体当たりされ踏み潰されるアリス。 「ゆ゛っ、や゛め゛っ、ぶえっ、ぐぎゃっ、ごふぇっ、ぐぎゅっ!!」 抵抗する間もなく、ひたすら痛めつけられていく。 そして、ぴくぴくと痙攣するしかなくなった時点で 「い゛ぎゃあ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 ベリッ!「ハフ、うっめ!めっちゃうっめ!!」 ビリリッ!「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 共食い・・・いや、本人達は共食いだとは認識していないのだろうか? しばらく様子を見てから、ピラニアを彷彿とさせるその光景の中に近づいていくバッジのまりさ。 自分が原因で喰われ続けている哀れな犠牲者に近づき、容赦なく一口破り取る。 「・・・・・・」 すでに命は無いのだろう。 何の反応もしない。 バッジのまりさはちぎり取った皮の一部と少量のクリームを、食べるでもなく口からぶら下げたまま奥の部屋へと向かう。 そこには、今さっき仲間達に無残に食い殺されたゆっくりが昨日までつけていたカチューシャが転がっていた。 ゆっくりアリスは、今度はどの子に自分の赤ちゃんを授けてあげようかとゆっくりまりさたちを物色していた。 そして、ふと奥から出てきたまりさに目が行く。 よく見れば帽子にバッジがついていて、とっても都会派でおしゃれな感じがする。 そういえば顔も一段とかわいい! 今日はこのまりさに自分の愛をあげよう! そう思いながらそのまりさに近づいていく。 まりさがこっちに気付いた! まりさ、私を受け入れて! そんな思いを胸に、そのまりさに飛び掛るアリス。 と、まりさが口に咥えていたものをひょい、っと自分にかぶせた。 何? プレゼント? こんなことしなくても私はまりさを・・・・・・!? そこで気付く。 自分の頭から漂ってくる匂いに。 これは・・・この"匂い"は・・・・・・!!!!! 「あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛あ゛ぁあ゛あ゛!!な゛に゛ごれ゛え゛え゛え゛え゛っぇえ゛え゛ぇぇ!!」 「ゆ・・・?」 「ゆゅっ!!」 「ゆっくりしね!!」「ゆっくりしねぇっ!!!」 大した前口上もなしに開始される虐殺。 「ちがっ・・・ぢがううっぶうぅえ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ!!やべでえ゛え゛え゛え゛ぇえ゛え゛ぇ」 最初から食い殺す勢いな上に、今度はまりさ1家も参加しているために終わりまでが早かった。 びりっ! ばりぃっ!! ブチュッ! グチュル・・・ 「ぎいいいぃっぃい゛い゛い゛っ!? ぐゅうっ!! ぐゅ・・ぎゅぷ・・・くゅぷ・・・」 濡れ衣を着せられたアリスは、今の今まで仲間達だったものに八つ裂きにされて悶え死んだ。 尚、死体から外れたカチューシャのうち1つに饅頭の皮のようなものが絡み付いていたが、誰も気にするものはいなかった。 昼、バッジのまりさは親まりさを連れて出かけていた。 親まりさはめんどくさがったのだが、 「きょうはありすたちとゆっくりしてるぜ!どっかいくならひとりでいくといいぜ!」 「おきゃくさまがふえたから、たべものがすくなくなってきてるよ!このままじゃゆっくりできなくなるよ!」 と、無理やり連れ出した。 ゆっくりアリス3匹も行こうと言っていたのだが、 「おきゃくさまはゆっくりしててね!こどもたちとあそんでてね!」 と言ったら上機嫌で引き下がった。 「こっちにおいしいものがいっぱいあるよ!」 と引っ張ってきたのは、とある巨大な蜂の巣。 先が地面にまで届いており、蜂蜜や花粉ケーキなどが採り放題なのだ。 「ゆっ!ゆっ!おいしそうなんだぜ!」 早速飛びつき、そこらの花粉ケーキをむさぼり始める。 「ハフ、うっめ!めっちゃうっめ!」 自分が何をしに来たかもう忘れたのか・・・ 蜂の巣に夢中な親まりさを放って親アリスのいる岩間の洞へと向かう。 「ゆっ! ちょうしはどう?」 「ゆー、ゆっくりしていってね・・・」 体はほぼ回復しているようだが、まだ精神的なダメージが残っているのだろう。 恒例の挨拶にも元気がないし、食料もあまり減っていない。 「ゆー!おかあたんあんまりたべないよ!」 「ゆっくりできなくなっちゃうよ!」 「ゆく~・・・」 3チビは母親を励ますように体をこすり付けている。 「ゆー!いっぱいたべないとげんきでないよ!ゆっくりできないよ!」 そういいつつ部屋を観察する。 下のコケはあまり乱れていない。 ほとんど動いてすらいないのか・・・ 水場食料場共にほとんど散らかっていない。 掃除をしているのではなく、ほんの少しずつしか食べないために散らからないのだろう。 しかし寝床から水場、餌場への道は引きずったようにけずれている。 跳ねる元気もなく、這いずって移動しているのか・・・ 子供を持ってきておいてよかった・・・一人で置いておいたら発狂していたかもしれない・・・ 「ゆー・・・ほかのこどもたちはどうしたの?」 この状態で教えたらまずい気もしたが、まりさはいつ教えてもあまり変わらないと結論付けた。 「ゆー・・・"全員"死んじゃったよ・・・」 「・・そう・・・・・ッ!」 意外な事に泣き喚きはしなかった。 しかし感情は止める事ができないようで、大粒の涙をぼろぼろこぼしている。 「ゆー・・・でもだいじょうぶだよ!もうちょっとであのありすたちはみんなきえるよ!」 「ゆー・・・?」 「おうちもとりかえせるよ!でもこっちのほうがいいならずっとすんでてもいいよ!」 「ゆ~、こっちのほうがいいよ!」 「あっちはどうせもうこわれちゃってるよ!」 「おとうさんはしねばいいよ!」 チビたちは随分ここを気に入ってくれたようだ。 1匹かなりシビアなことを言ったやつがいたが・・・ 「ゆっ!じゃあいくね!みんなはもうすこしそこでゆっくりしててね!」 「ゆ・・・まりさは? まりさはどうしたの?」 たぶん一番聞きたかったことをやっと切り出す親アリス。 「ゆ、いきてるよ!いきててほしい?」 「うん・・・はなしあってなかなおりしたいよ・・・」 ・・・あんなのがまだ恋しいか・・・ 「分かったよ。」 まぁあとはゆっくりアリス3匹のみ。 何とかなるだろう。 親まりさはまだそこらを食い散らかしていた。 「ゆー・・・まりさ!ここになにしにきたかおぼえてる?」 「ゆっ!これをたべにきたんだぜ!」 私はこれと同類なのか・・・ 「ゆっ!そろそろゆうぐれだよ!はやくかえろ!」 「わかったぜ!うちでもたべられるようにこれはもっていくんだぜ!」 「そうだね!みんなまってるからね!」 ゆっくりアリスだけがね。 予想では、姉まりさたちは全滅していてアリスたちが発情して待っているはずだった。 しかし、 「ゆ゛っ!!ゆ゛う゛う゛う゛う゛ぅぅう゛う゛う゛ぅ!!」 姉まりさたちも全滅していたが、同時にアリスたちも全滅していたのである。 そして広間の中央には 「お帰りなさい。おそかったわね?」 なんとゆっくりゆかりんが鎮座していた。 「ゆぅぅぅううぅっ!!ありすになにをしたんだぜ!?ありすをかえすんだぜ!!」 子供はどうでもいいのか。 こちらはとりあえず・・・ 「おそかったわねだって。おお、こわいこわい」 相手の出方を見よう。 「子供達はアリスに交尾を強要されて体が持たずに死んだわ。」 「うそなんだぜ!ありすはそんなことしないんだぜ!」 全く自分のことしか見ていない。 「うそじゃないわ。みんな助けを求めながら死んでいったの。」 「そんなわけないんだぜ!。それじゃ、ありすはどうしたんだぜ!?みんなつぶれてるんだぜ!!おまえがやったんだぜ!!」 状況を全く理解しない。 「ああ、そっちは・・・その子がやったのよ」 いつの間にか、背後に体つきゆっくりフランが忍び寄っていた。 「なっ・・・!?」 「ふ、ふ、フラン!!」 ゆっくりゆかりんはほかの種、場合によっては捕食種とも共存しているらしいが、これが・・・ さすがにこちらも逃げやすい位置に移動する。 しかし、ゆっくりフランが手に持っているのは・・・ 「まっ、まりざああぁぁあ!!だずげでえええぇぇええ!!」 侵入者の方のゆっくりアリスのリーダー格だ。 「あ、ありすをはなすんだぜ!」 「じゃああなたが犠牲になる?」 「ゆ゛っ!?」 「あなたが食べられればアリスは助かるわよ」 「ゆ・・・」 こんなのが・・・ 「ゆ!そうなんだぜ!こっちのまりさのほうがおいしいんだぜ!こっちをたべるといんだぜ!」 「おお、こわいこわい」 こんなものが・・・ 「あら、でもフランはあなたの方が気に入ってるみたいよ?」 「ゆ!?ゆー・・・ありす!ごめんなんだぜ!ゆっくりしんでくれなんだぜ!」 こんなものが私と同種なのか・・・ 「ま、まりざああぁぁあ!!な゛ん゛でぞん゛な゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛おぉぉおお!?」 「しょうがないんだぜ!まだこどもたちをまもらないといけないんだぜ!」 どの口でそんなことが言えるんだ・・・ こんな・・・ 「残念ね。じゃあ潰しちゃって。」 ブンッ! 「ゆ・・ゆゆ!? ゆぶぎゃっ!!」 バチィッ!! なぜか奥に投げ込まれ、壁に激突してぺしゃんこになるアリス。 「ゆ・・・ありすはあげたんだからとっととでていくんだぜ!」 「おお、こわいこわい」 なぜ・・・ 「あら?アリスを潰したらあなたを見逃すなんて言っていないのだけど。」 「ゆ!?たしかにいったんだぜ!どっちかがたすかるっていったんだぜ!!」 「おお、こわいこわい」 なぜ私はこんなものに・・・ 「じゃ、じゃあこいつをたべるといいんだぜ!こいつならたべてもいいんだぜ!」 どんどんと私をフランの方に押していく。 ああ・・・もう・・・ 「鬱陶しいっ!!!!」 思い切り体当たりして壁にぶつける。 「ゆぎゅっ!」 止まったところで上から何度も踏みつける。 「ゆっ! ぐえっ! やめっ! ぶぎゃっ!」 納まらない。 こんなものでは全く納まらない! 「ゆ゛ぅ゛っ!」 私は・・・ 「ぐゆぅ!」 私は同類なのか・・・ 「ぎゅぇ!」 こんな・・・ 「ぎゅぱっ!」 こんなこんなこんなこんなこんなこんな・・・ こんな醜いゴミクズと!! 「ゆぶえ゛え゛ぇ゛ぇえ゛え゛っ!!な゛ん゛でえ゛え゛え゛っぇぇえ゛え゛!!」 「黙れええええええええええええぇええ!!」 感情のままに頬を咥え、奥に向かって投げ飛ばす。 なぜこんなにも醜いのか! 「ほっべがあああぁぁあ!!まりざのほっべがああぁぁぁ!!」 「やぁかましいいいいいいぃぃぃっ!!」 反動をつけて押し潰す。 なぜこんなにも醜悪なのか! 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅう゛ぅう゛う゛う゛ぅっ!!」 なぜ私は・・・こんな低劣な存在なのか!! 「その辺でやめておきなさいな。」 フワッと体が持ち上がる。 「離せえええぇぇぇ!!」 もがいてもびくともしない。 ゆっくりフランはここまで強力じゃないはずだが・・・ 「落ち着きなさい。事情は知っているわ。」 「・・・!?」 「私達は少し前からあなたをマークしていたの。」 「なん・・・?」 「後で説明するわ。とりあえずその子には趣向を凝らした刑を受けてもらいましょう。」 楽しそうに説明しながらゆっくりフランに合図を送る。 と、ゆっくりフランが何か網目状のものを持ってきた。 あれは・・・竹か? フランはそれを入り口の内側につっかえるようにはめる。 「それは檻の入り口よ。それは外側からは簡単に開けるけど、内側からはゆっくりの力じゃ絶対に開けられないようになっているわ。」 まりさはまだぴくぴくと痙攣しているが、意識はあるようだ。 「残念だけど、この森のゆっくりは全滅しているから自分だけが頼りね。」 「・・・? 全滅・・・?」 「近くにゆっくりアリスの大群がいたものだから、この子に掃除させようと思ったのだけど・・・」 「ゅー・・・ゅぅ・・・」 「適当にって言ったら、この辺一帯のゆっくりを全部潰しちゃったのよ」 「ゆ!じゃ、じゃぁおとなりのれいむは!?ごきんじょのぱちゅりーは!?」 「この近くのゆっくり?なら、そこのちょっと開けたところにまとめて"積んである"わ。」 「ゆ・・・ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っぁぁあ゛あ゛ぁあ゛あ゛!!」 いや・・・まだ残っている。 「もし、お前が捨てたアリスがお前を許してくれたら助かるだろう。 ここまできてくれれば、だけど」 「ゆ゛ー!いやだぜ!いますぐたすけてくれなんだぜ!」 「・・・ならそこで腐れ果てて死ね!!!!」 最後まで神経を逆撫でしてくるやつだった。 「さてと・・・次はあなたのことなんだけど」 「・・・何か?」 「あなたは自然に生まれたゆっくりなのにありえないほどの知能を持っているわ。」 「・・・・・・」 「しかもその知能を使い分ける賢さも持っている。」 「・・・・・・」 「でもあなたは所詮ゆっくりでしかないわ」 「・・・・・ッ!私は・・・ッ!」 「だから、私達と一緒に来なさい」 「・・・?」 「私達は、そこに見えてる山の山腹にあるゆっくり研究所の実験体なの。」 「実験体・・・?」 「研究所ではいろいろな検査をされると思うけど、自分のことや他のゆっくりのことも今よりずっと効率よく調べられるわ。」 「・・・・・・」 「自分のことを知りたいのでしょう?」 「・・・やめておく」 別にこのゆっくりゆかりんの話が嘘だと思ったわけではないが、 「もうちょっと自分で調べてみたい」 自分のことは極力自分だけでやりたかった。 対してゆかりんは、 「・・・そう、残念。」 意外にあっさり引き下がった。 「でも、さっきも言ったけどこの森のゆっくりは全滅しちゃってるから、近場ではあの山しかないわね。」 ・・・この森のゆっくりが全滅したのはわざとなんじゃないだろうか。 「あの山に来ることがあったらうちに寄ってきなさいな。一風変わったゆっくりがいっぱいいて参考になると思うわよ」 間違っても加工所なんかに行かないように。 じゃあね。 そう言ってゆかりんはフランに抱えられて飛んで行った。 耳を澄ませてみる。 ゆっくりの声が全く聞こえないところを見ると、(この森全体は分からないが)ここら一帯のゆっくりが全滅しているというのは本当らしい。 「・・・ふぅ」 どうやらあのゆかりんの言う通り、あの山へ行かなければならないようだ。 しかし研究所とやらに行くかどうかは決めていない。 途中何があるか分からないし、山についてから考えてもいいだろう。 その前に親アリスのところに寄っていくか・・・ 竹で編まれたネットにゆっくりまりさが飛び掛ってははじかれている音を聞きながら出発する。 全ては後回し。 ゆっくりゆっくり考えていこう。 私は、どう足掻いてもゆっくりでしかないのだから。 「・・・あのゆっくり、来る?」 「来るわよ。策も罠もまんべんなく張ってあるもの。自然に引き寄せられて来るわ」 「・・・・・・」 「そうでなきゃ、この私があんな簡単に引くわけないでしょう?」 「・・・・・・・・・」 終わり ***************************************************************************************************************************************** 野生のゆっくり同士でやり合わせるつもりだったのに何故か最後研究所ネタが出てきました。なんでだろう・・・ "賢いゆっくりであるがゆえの苦悩"を書こうとしたんですが、おまけ程度で終わってしまいました fuku718あたりを読むと後半読みやすいかもしれません。(読まなくても全く問題はありません。) fuku787の方をとても尊敬していて、途中あれを意識して書きました。 批評は大歓迎です。参考になります。 このSSに感想を付ける
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ゆっくり三大珍味 世界三大珍味としてフォアグラ、キャビア、トリュフと言われるものがある 文字通り珍味であり、味の善し悪しは十人十色 中には高級食材と言うだけで美味しいという人もいる それはさておき、これは人間の珍味である であれば、ゆっくりにも珍味があるのではないか? そこで考え出されたのが以下の内容である 1.れいぱーありすのぺにぺに まず、れいぱーありすの集団を集める ここで重要なのは非れいぱーは選考基準から外れること そして、シェイクして発情させる シェイク終了後、マジックミラー越しにゆっくりまりさを用意する れいぱー側からはまりさが見えるがまりさからは何も見えない ありすのぺにぺにが膨張してきたらそれを切り取る 「ぎゃあああ!ありずのべにべにがあああ!!」 「どがいばのありずになにずるの!!」 「ずっぎりざぜでええええ!!」 そしてこの切り取ったぺにぺにをまりさに与える このまりさは赤ゆっくりの頃からゆっくり基準で贅沢な食べ物を与えているため 舌が肥え葉っぱや草、虫は食べない 「はい、今日のご飯よ」 「おねえさん、ありがとう!ゆっくりたべるね!」 「む〜しゃ、む〜しゃ、しあわせ〜♪」 このまりさは舌が肥えているためよっぽどのことでないとしあわせ〜♪とは言わない 割と人間に近い物を食べさせないと満足しないのだ ちなみに最近の食事は野菜である 「どぼじでありずのべにべにだべぢゃうのよぉぉぉ!!!」 「やべでえええ!だべないでええ!!!!」 「ずっぎりでぎないぃぃぃぃ!!!」 マジックミラーの向こうでは自分のぺにぺにを食べるまりさを見たありす達がのたうち回っている 流石に目の前でぺにぺにを食べられるのは辛いようだ 満腹になって満足したまりさと性器を切り落とされた上に食され満足できないありす 何度も鏡に体当たりする個体も出始める ここで万が一を感じまりさを別の部屋の母親の元に戻す ありすは探せばいいがまりさはまだまだ実験にしようするためだ その後、ありすは人間の里で美味しく頂きました 2.ゆっくりの帽子 更に別のゆっくりを用意する 今度はゆっくりぱちゅりー二匹 この二匹は配合の結果、病気を克服した希有な個体である 分析も進み、繁殖後に里からの要望で近くの森に放す 閑話休題。ここにれいむのりぼんをまりさの帽子を用意する まだ生きたままの個体のであることが条件だ そして帽子とリボンを見た目がそうとは分からないように加工する この帽子とリボンはゆっくりの成長にあわせて大きくなるためジュースなどで形を変えることができる それをぱちゅりーに食べさせる 「むきゅ!これは?ちんみ?ね!」 「こんなもの食べたことないわ」 評判は上々である 「でいぶのおぢぼんがえじでえええ!」 「ばでぃざのぼおじいぃぃぃぃ!!」 「ゆっくりできないゆっくりはしぬうさ!」 「でいぶもっどゆっぐりじだいぃぃぃ!!」 3.ゆっくりの中身 野生のゆっくりが唯一食すことがあり人間にも好評なのがこれである 1のぺにぺにはそうと知っていたら食べるものがおらず。2に関しては手間が掛かる れいむの親子に頭を切り、目や口を排除したまりさを与える 子どもでも食べやすいように下部にも穴を開ける 「ゆゆ!?とってもおいしいよ!!おちびちゃんもおたべ!」 「ちあわせ〜♪」 「ゆっくりしていってね!」 半分ほど食べたら取り上げ、別のものを用意する ちぇんとありすとみょんを同様に加工したものだが 「あみゃくておいちぃ〜♪」 「ゆっくりたべてね!」 「みゃみゃ、れ〜むちょっちのもたべちゃい〜」 これは珍味というよりもまさしく美味だ しかし、これを食した場合、多くのゆっくりがその味を忘れられず同種を襲うようになるため ゆっくりにとっては麻薬のようなものである その後この親子も他のれいむ種を食すようになった 「師匠、これがデータです」 「ありがと。思いついたのはいいけど1番なんて気持ち悪いわね」 パラパラっと用紙をめくり目を通す その後、二三指示しまた別の実験だ 「ところでこの「しぬうさ」っててゐ ?」 「それが…」 と、ゆっくりを差し出す 「ゆっくりするうさ!」 「これは…ゆっくりてい!?」 「何かいつの間にか混ざってまして」 「いた!鈴仙そいつを渡すウサ!」 「駄目よてゐ。この子は私が調べるから渡しなさい鈴仙」 結局、このゆっくりが彼女らにとって一番の成果だと言えたのは悲しいお話しである
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※東方キャラメインです。 ※ゆっくりはあまりでてきません。 「現像、終わりましたよー」 暗幕の向こうからの年若い声に、写植の手を止める射命丸文。 続いて、暗幕から犬走椛がゆったりとした仕草で姿を表す。 その手には、文が今日一日とり溜めた写真の数々。 慎重に、文の元へと運んでくる。 いつにも増して真剣に縮こまって歩く椛は可愛らしくて、ついつい文の口はしに浮かんでしまう微笑。 「悪いね、椛。手伝ってもらっちゃって」 それでも、文の口をついたの労りの言葉だった。 もちろん、椛にそれを言われるだけの理由は十分にある。 新聞製作は犬走椛の仕事ではなく、義務もない。巡回という本来の勤務の合間をぬって、こうして手伝いにきてくれる。 上司と部下という関係のせいだろうか。 文の謝意を受けてほころぶ椛の表情に影はない。 純粋に椛の好意によるものなのだ。 「大丈夫ですよ。好きでやっていることですから」 満面の笑みで白くふわふわの尻尾を振りながら、現像したばかりの写真を並べていく。 紅魔館、魔法の森、香霖堂、守矢神社。 写されている風景は様々だが、共通する要素が一つだけあることに椛は気づいていた。 文は、何か言いたげな椛の人懐っこい眼差しを受け止めて、小さな頷きで言葉を促す。 「あの、どうして全部に『ゆっくり』が写っているのですか?」 ゆっくり。 椛の知る限り、いつの間にか幻想郷界隈に出没して、謎の生態のままあちこちでゆっくりしている存在。 出没当初は新しい異変かと注目されたものの、霊夢が縁側で「どうでもいい」とごろごろすることにより 異変とは認められず、結局はいつのまか幻想郷の風景に馴染んでいた。 巨大な膨れ饅頭に人の顔がはりついたようなゆっくりの造形は確かに異様であったが、生き物のようでいて 食事や生殖といった生物的な特徴がなく、他人にゆっくりするよう呼びかける以外の目的もないために 害にも益にもならず、今では妖精やそこらを浮かんでいる幽霊のように放っておかれている。 どれぐらい放っておかれているかというと、いつの間にか家に入り込んでゆっくりしていても 「なんだゆっくりか」と放っておかれるほどである。 よって、ゆっくりが悪魔の館にいようが、魔法の森にいようが、宴会の度に妖怪百鬼夜行状態の博麗神社にいようが 不思議ではない。いつのまにか、そこにいただけだ。 ただ、一連の写真全てに載るには撮影者が意識して写し取る必要がある。射命丸文がなぜ被写体にゆっくりを 選んだのか、椛には理解できなかった。 その疑問を受けた文は、何となくはにかんだ笑顔を浮かべていた。 「ええとね……」 いつもは文花帖に記事を書きとめる指先で、手持ち無沙汰に頬をかく。 「ええとね、新聞大会ってこの前あったんだけど」 「はい。鴉天狗様たちの新聞の評論会ですね」 「そう、それで私も出たんだけどね……」 言われなくても、敬愛する上司の結果を椛は知っていた。 今年のテーマは人里を揺るがせた凶作について。 射命丸文の記事『どこにいったの秋の神様?』は落選。賞を獲得した『農民救済への諸方策を上白沢慧音に聞く』や 『貸付米の利率を巡る対立構図』や『蔵米供出拒否と米問屋との談合に迫る』を前に、例年通り完膚なきまでに 叩きのめされた。おまけに、頭に葡萄を載せた神様に泣きの大抗議を受けるはめになった。 「そんなわけで稲田姫様に叱られたから、ちょっと自分の活動を見直そうかなと。今まで特ダネを追い続けて 記事の質がゴシップ気味になっていたわ。まずは初心にかえるつもりで日常の些細なことを記事にしたのよ」 些細なことの代表として、ゆっくりですか。 それもどうだろうか、もしかして先輩は根本的に着眼点がおかしいのではと椛の心のどこかが囁いてはいたが、 何やらふっきれた様子の文を見ていると言葉に出すのははばかられた。 椛は思い直す。大丈夫ですよ、例え落ちぶれたとしても大切な先輩ですから。そんな想いをにっこりとした微笑に 隠して上司に向けていた。 「さて、後は写真を記事に配置してと……」 こうしている間にも、記事は文の手馴れた手つきで完成へと向かっていた。 そのお手並みに感心する椛の視界に、ちらと記事が目に入る。 『いつの間にか住み着いてました』 その題字の隣には、ゆっくりれみりゃ、ゆっくりふらんと呼ばれる空を飛ぶゆっくりを胸元で抱え持つ紅魔館の メイド長、咲夜の写真。れみりゃたちに懐かれて、なんだか困ったような、幸せそうな表情が印象に残る。 記事はどうやら、咲夜の談話を主に掲載されているようだ。 『最初はお嬢様も追い払いなさいとおっしゃってましたが、この子たちの仲睦まじい様子を見てからは 何も言わなくなって……昨日、自ら地下に下りていくお嬢様を拝見いたしましたわ』 それは、きっといい変化なのだろう。 背景で居眠りしている門番さんの幸せそうな寝顔を見つけながら、心からそう想う。 「校了おしまい!」 次の記事を読む直前に響いた文の声。 相変わらずの最速振りだった。 見上げる文の表情は、自信満々で満足そうな笑顔。 「椛もお疲れさま! ありがとうね」 文は開放感で若干ハイになった文が椛の頭をわしゃわしゃと撫で回す。 あうあうと可愛らしくうめきながらこねくり回される椛。 毛並みを台無しにされながらも、椛にとって何よりのご褒美だった。 「お疲れさまです! の、飲み物もってきますね!」 真っ赤になりながら奥へ引っ込む椛を横目で見つつ、文は手元の校了した記事に目を落とす。基本、校了まで 済んだ原稿は後は印刷するだけ。いまさら手直しすることもないが、これまでとは違った視点で作成した 自分の記事を眺めるように読んでいた。 香霖堂。 店主でゆぴーゆぴーと眠っているゆっくりまりさの横で、店主の森近霖之助がいつものように珍説を唱えている。 「これは頻発する異変をおさえるよう幻想郷が生み出した云々。ゆっくりしていってねとは、異変を抑える 意思の現われで云々。ために異変を解決する人物を模して云々。となると、一番怪しいのは幻想郷の維持に 関わる八雲紫で云々」と、メモをとるのもやっとの勢いでのたまわれた。 お前がゆっくりしろと、取材中に何度いいそうになったことか。 魔法の森。 人形遣いのアリスの邸宅に向かうと、アリスと魔理沙、そしてゆっくりたちが暢気にティータイムを 楽しんでいた。ゆっくりたちは食事を必要としないが、お茶などのゆっくりに繋がる要素があれば それを通じてゆっくりを味わう。まるで魔法使いと同じですねと思わず正直な感想を口にしてしまったが、 アリスは生真面目に頷いていた。何でも自律人形を志すアリスにとって、生物として生命があると 思えないゆっくりが動き回っているのは心底興味深いらしく、人形たちと遊ばせながらその様子を 観察していたらしい。 どうやら、独り言の相手にもなっているらしく、「夜中に人形に語りかけるよりは、ゆっくり相手の方が 見た目がいいしな」とは居合わせた魔理沙の弁。「はいはい、そうね」と、うるさそうにあしらうアリスを 撮影しながら、地の底に向かう途中、魔理沙もまさにその状態だったことはつっこまないことにした。 守矢神社。 東風谷早苗がゆっくりれいむを胸元で抱いている。早苗は「可愛い可愛い、気持ち悪くて可愛い」と 論理的に破綻したことをしきりに繰り返していた。外の世界で暮らしていくには常識に捕らわれて いてはいけないのだろうか。幻想郷で常識に捕らわれていたい射命丸文ですが。 ともかく、後ろに控えている神様二柱の苦笑いが印象的だった。神奈子様も諏訪子様は仕切りに「猫可愛がり するもんじゃない」と諭し、「早く、その妖怪つるべ落としを地底に帰しなさい」「そうだよ、代わりに飛頭蛮を 連れてくるから」と、よくわからない懐柔を提案しては「これはゆっくりです!」と拒絶されていた。 中々微笑ましい光景だったが、個人的には神様たちの方が間違っている気がするのは気のせいだろうか。 取材が終了した後の帰り際、神奈子様の最後の言葉が印象的だった。 「いやあ、無理にアレを元の場所に帰そうとしたときがあったんだけど、早苗に『私かられいむを奪わないで!』 『れいむはわたしのすべてなの!』『れいむと離れたくない!』と騒がれてしまって……まあ、それは いいんだけど、それを聞いた妖怪たちがアレな誤解をしてしまったようで……山の妖怪である天狗が何をすべきか、わかるね?」 わかりすぎたので、もちろん訂正記事をのせました。 紅魔館。 悪魔の住む館と呼ばれ、かつては異変の中心地として恐れられていたこの館も最近では近づく人間が多い。 原因を求めるなら、門番の紅美鈴の親しみやすさと、おどろおどろしい蝙蝠に代わって、うーうーと飛び交う ゆっくりれみりあとふらんの微笑ましさによるところも多いだろう。 取材を受けた咲夜はそれを疎ましく思っているのか、仕方なく思っているのかはっきりと口にはしなかった。 ただ、自分の造園した花畑が多くの人の目に触れてあの子は嬉しいかもしれないわねと、優しげな視線を門の 方向へ向けていたのがその答えだったと思う。 紅魔館図書館。 咲夜の機嫌がよかったおかげだろうか。そのまま図書館内に住んでいるというゆっくりの取材で 図書館に招待され、日陰の知識人、パチュリー・ノーレッジの取材に成功する。相変わらずの本の樹海。 その苔むす木々の根元のような、平積みされた本に囲まれて、ゆっくりたちと図書館の主がいた。 図書館に住んでいるゆっくりは、ゆっくりぱちゅりーとゆっくりまりさの計二体。ゆっくりぱちゅりーは 本棚の影に丸い体を埋めながら、開いたままの図書を前に動かずじっとしている。主の話では一週間に 1ページ読み進むとのこと。パチュリーの続いた言葉「一冊の本をあれだけ長く楽しめるのは少し羨ましいわね」という 言葉は本気か冗談か、私には判別することはできなかった。 ゆっくりまりさの方は、ゆっくりぱちゅりーの取材中にぽよんぽよんと丸い体を弾ませてやってきた。 が、驚いたことはゆっくりまりさの後を追ってきた人物だった。 「つーかまえた!」 抱え込むようにゆっくりまりさを抱きとめる、あどけない声。振り向けば、紅い瞳と、幼い体つき。 そして宝石を実らせたような一対の節くれた羽をもつ少女がいた。フランドール・スカーレット。 直接会うのはいつぞやの取材以来だ。当時の彼女は少し拗ねて、姉に対して挑発的な印象を受けていたが、 今日のフランは無邪気な見た目相応の少女に見えた。ゆっくりまりさを幼子のように抱きしめて、 その弾力を楽しんでいるからだろうか。 「ゆっくりしていってね!」 身を投げ出すようフランの重みに少したわんでいるではいるものの、ゆっくりまりさはいつもの ように余裕の表情。まあ、ぷちっと弾けても瞬きほどの時間があれば元通りになる不思議物体だから 生死の恐怖はないのだろう。フランドールにここまでまとわりつかれて恐れないのは、魔理沙と こいつぐらいのものだ。 何でも、ゆっくりまりさはフランのちょうどいい遊び相手らしい。495年の日常で、ごく稀に大切な 何かを見つけれてはいつの間にか壊してしまって落込み、狂気に触れていく心。それが、このゆっくりまりさは でたらめな存在なので、間違って壊してしまっても「ゆっくりしてね!」と一瞬で再生し、何事もなく 傍らにいてくれる。躊躇いなく関われる他者というのは、フランにとってこれまで存在しなかった。 特にゆっくりまりさは、最近ご執心の人間のお友達と似ている部分があって面白い……そうだ。 そのせいだろうか、最近のフランは落ち着いて、姉とも折り合いがついているらしい。もしかしたら、 薄暗い曇りの日には館の外で遊ぶフランに出会えるようになるかもしれない。 まあ、こんな感じにまとめた記事を見ているとパンチ不足はやっぱり気になってしまう射命丸だった。 確かに新聞というよりゆっくりの広告のような内容になっている。 とはいっても異変も何もないなら、刺激のない記事になるのは当然かもしれないと思い直す。 まあ、無理やり記事を盛り上げるとしたら……この没になった写真を使って…… 文の手が紙片に走り書きを始めたときだった。 「お待たせしました。すいません、お茶の葉がどこかわからなくて」 流しに飲み物を支度しにいった椛が申し訳無さそうに入ってくる。 文の手が止まり、ペンを置く。 「遠慮しないで聞いてくれればいいのに」 立ち上がって、恐縮する椛の元へ。 自らの茶碗をとると、指先に温もり、鼻腔にゆったりとした緑茶の香りが漂う。 机作業で強張っていた全身も、ゆったりとほぐれていくようだ。 ゆっくりたちが言う「ゆっくり」って、こんな感じなのだろうか。 「さて……」 一息ついたら、後は校了した原稿を山伏天狗の元にもっていって印刷するだけ。 文がそういいかけたときだった。 バサバサバサと騒々しい羽音とともに黒い小さな影が編集室に飛び込んでくる。 飛び込んできたのは、相棒の鴉、文々丸だった。 「え、空に大きな船ですか!?」 そして文々丸がもたしたのは、新たな異変の兆候。 「なるほど、巫女も動き出したんですね……」 巫女が動いたとなれば、すでに異変は兆候から次の段階へ動き出しているのだろう。 今、まさに進行していく異変という巨大なネタを前に、文の躊躇はほんの一瞬だった。 「射命丸文が大異変を見過ごすのは、ありえませんね!」 書きたいものを書き、つくりたいものを作る。 それだけの単純なことが、強く射命丸を突き動かしていた。 「椛、後はお願い!」 言いながら、窓の向こうに飛び出していく文。 「……先輩らしいです」 青空に小さくなっていくその姿を見送って、椛はぽつりと呟く。 取り残されたものの、文らしい行動力が蘇ったのを見るとなぜだか嬉しい気持ちになるのだった。 後は任されました、がんばります。 心の中で文に語りかけながら、原稿の置かれた机に目を落とす。 そうして、気がついた。 机の上に無造作に置かれた紙片と写真。 拾い上げてみると、紙面には文のものらしき可愛らしい文字で文案らしきものが書き込まれていた。 写真にはフランドール・スカーレットと、その両腕に抱きしめられた何か……背後からの角度では、 フランの肩越しに見慣れた黒い帽子だけが見える。 しばし、紙片の文章とにらめっこをしていた椛だったが、指定された「写真」を見て納得する。 ああ、なるほど、この通りに編集しなおすんですね。 記事にこれまで椛は手を触れたこともない。記者であり文責を持つ射命丸しか、書いてはならないからだ。 それが今、こうして後を任されたのは信頼してくれているからだろうか。 だったら、頑張らなければ! 椛は、渾身の気合で記事の「訂正」に挑む。 こうして苦労の末に発売された「文々。新聞」 一面を飾るのは、肩越しにまりさの帽子らしきものを抱きかかえるフランの写真。 そして紙面に躍る見出しは、見るもの全てを凍りつかせた。 『またもや熱愛発覚!』 「知る人ぞ知る、数々の浮名を流すM・Kさん(職業:泥棒、年齢不詳)の新たな熱愛が発覚した。 お相手は紅魔館のF・Sさん(職業:無職・495歳)。本日、仲良さげに体を合わせている決定的瞬間を 激写された。 情報筋によると、二人いはM・Kさんがいつものように空き巣に及ぼうと紅魔館に忍び込んだ際に出会い、 弾幕遊びを通じて親しくなった模様。 (関係者の談話) 友人のR・Mさん 「まったく魔理沙も困ったものね。素敵な賽銭箱はあちらだけど、また一悶着ありそう。 うちはとてもご利益があっておみくじも販売しているのだけど、巻き込まれるのはごめんだわ」 他にも数々の浮名を流すM・Kさん。この恋の迷路、果たしていかなる出口へたどり着くのか、 それともクランベリー・トラップにひっかかり年貢の納め時となるのか、今後も目が離せない。 以上、射命丸文でした」 後日、上空で繰り広げられた幻想郷一、二を争うハイレベルな追いかけっこが、 各新聞の紙面をにぎわせたのは、いうまでもなかった。 (終わり) 書いた人 小山田 あとがき お久しぶりです。 今回、東方にゆっくりが入り込んだらどうなるかを考えて書いていました。 東方にゆっくりを混ぜるという、これまで行き場のなかったものが投稿できる場所があるのは嬉しいですね。 最後のオチは蛇足だったかも知れませんが、形だけでもオチてないとすわりが悪いので…… あと、東方星蓮船は体験版なので、後々本編に合わせて修正するかも。 名前 コメント
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ゆっくり達がアリスの家を遊び場にしてから季節が一回りした。 ゆっくりパチュリーが疲れないように普段からアリスの家にすんでいるゆっくり魔理沙とパチュリーは晴れの日は庭で、そして雨の日は元アリスのベットで眠り。朝は家の周りに集まってくる蝶を追い掛け回しながら食べ、お昼と夕食は午前中から遊びにやってくるゆっくり達がもってくる食事を一緒に食べる。 今は殆ど使われることの無いキッチンだが、たまにやってくる魔理沙やその友人が食事を作ってくれる時などに使っている。 満月の綺麗な夜、大きな木の根元に横と張りながら話すゆっくり魔理沙。 すっかり傷の癒えた今では、二匹とも以前のようにニコニコと話し込んでいる。 「パチュリーと霊夢ゆっくり眠ろうね」 その言葉が合図だった様に姦しかった三匹は寄り添った体を更にすり合わせて眠りに着いた。 こちらを覗いているモノが居る事など気にも止めずに。 「……さ、おき……」 眠っていたゆっくり魔理沙は自分を呼ぶ声で目を覚ました。普段は寝坊することの無いゆっくり魔理沙だが時々寝坊した時は二匹が起こしてくれる。 「ゆっくりおきちゃった!!!」 元気よく起きたゆっくり魔理沙は直ぐに違和感に気づいた。昨日は外で寝ていた筈なのに今は屋内、しかもここは……。 見覚えのある壁、そして柵。まさに、以前アリスに連れてこられたゆっくり加工場のそれだった。 「どっ、どうしてここにいるの?」 「魔理沙がまだ寝てるときに、おじさんがここであそぼうって言ってきたの」 「魔理沙が寝てるからびっくりさせようと思って寝てる間につれてきたの」 ニッコリと笑うゆっくり霊夢とパチュリー。 当然、自然の中で暮らしてきたゆっくり達は、このような施設がある事など知らない。 そして人を疑う事も知らない。アリスのことで芽生えたかと思われたそれは、その後の人間達の行動によりすっかり枯れてしまっていた。皮肉な結果だ。 「おじさん、魔理沙おきたよ!!!」 「魔理沙ゆっくりおきたよ!!!」 二匹が無邪気に声をかけた相手は、去年案内してもらった時のあの男だった。当然ゆっくり魔理沙もよく覚えている。 「二人とも、ここはだめだよゆっくりできないよ!」 「そんな事ないよ。魔理沙もゆっくりできるよ!!!」 ふたりともどうしてそんな事いうのか分からないと言った表情で聞き返す。 「ああ、お前さん以前ここに来たゆっくりかい? あれからうちの会社は変わってねぇ、今は飼われているゆっくり達を都合の悪い時に預かる仕事もしてるんだ。これから天気が大荒れになるからあの家じゃ危ないって事である人に依頼されてね。だから連れてきたんだよ」 工場職員の男は以前の様な愛想笑いを浮かべてゆっくり魔理沙に説明した。周りではゆっくり霊夢とパチェリーがしきりによかったね、と言って跳ね回っている。 「おじさん、どんな人がお願いしたの?」 「金髪の綺麗な魔法使いの女性だったよ。……たしか紫色の魔女も一緒に来てた様だけどね」 これだけで、三匹のゆっくり達には理解した。時々アリス邸を訪ねてくる人、一緒に来た人はおそらく始めて連れて来た友人だ。 「魔理沙が頼んでくれたのか」 「「よかったね!!!」」 ゆっくり魔理沙は今度こそ安心した、何気なく檻の遥か上にあるはめ込み式の採光窓を見ると、確かに風も雨も酷くなっている。殆ど手入れのされていないアリス邸では本当に危なかったかもしれない。 「安心してゆっくりできるね!!!」 笑顔の二匹も。 「ゆっくりできるね!!!」 と笑顔で返した。 「それじゃあ、他のゆっくりが襲うと大変だから、鍵をかけておくよ。おそらく明後日には天気はよくなってると思うからね」 見ると既に鍵はかかっていた、おそらく三匹を入れた時にはもうかかっていたのだろう、起きていたふたりは、初めから信頼していたのであろう。 「それじゃあ、私は他の仕事があるから。」 「おじさんもゆっくりがんばってね!!!」 去り際に自分達の柵に食事、隣の柵にペロペロキャンディを投げ入れ、手を振る男に体を大きく跳ねさせて答える三匹、その表情にはもう疑いの文字はない。 ふと、残りのゆっくり達の事が頭をかすめたが、以前は自分達もこの天気の中、雨宿りできる場所を探してずっと話していた事を思い出し、大丈夫だろうと結論づけた。 「ゆっくりしていってね!!! ゆっくりしていってね!!!」 柵といっても適度に動き回るスペースはある、森を駆ける様、とはいかないが三人ともとても楽しそうだ。 「うー。うー」 夕暮れ、あれからずっと動き続けて、さすがに元気がなくなって休んでいた時それまでは騒ぎで気付かなかった隣の声が聞こえた。 「泣いてるよ」 「どうしたのかな?」 「ゆっくりしていってね!!!」 お決まり台詞を言ったのを合図にまた追いかけっこが始まった、体の弱いゆっくりパチェリーに気を遣うから声は賑やかになる。 それはもう、隣の泣き声が聞こえない程に……。 「ごはんですよ」 といって朝と夜に食事を提供しに来る従業員(ちなみに黒い佃煮では無い)に、「ゆっくりたべるね!!!」と今回で四回目になる返事をする。隣には毎回お菓子の類が投げ込まれている。採光窓からの久しぶりの朝日に映る食事は今までよりも少し豪華なものだった。 「豪華だね」 「今日でお別れだからかな?」 「魔理沙、霊夢、ゆっくり食べようね!!!」 今日でここともお別れ、特に不自由は無かったけれど、やはり今まで慣れ親しんだ森の中の方が居心地がいい。 帰ったら何をしようかと考えて食事を食べる。 (やっぱり、魔理沙たちにお礼をしないとね!!!) 霊夢が遊びつかれているパチュリーに自分の食事を少し上げるのを見ながらそんな事を思う。 「帰ったら魔理沙たちにお礼をしようね!!!」 「「うん、しようね!!!」」 「「「ゆっくりしていって貰おうね!!!」」」 三匹とも同じタイミングで声を出す。やっぱりこのふたりと友達でよかったと新ためてゆっくり魔理沙は思った。 「おーい、お前達、引き取りに来てるぞ」 と同時に開いた扉、逆行で顔は見えないが初日に会った男の声だ、隣には二人の人影も見える。 「魔理沙達だね」 「ここで、お礼いえるね」 「「「ありがとう、おねえさん達。おかげでゆっくりできたよ!!!」」」 とびっきりの笑顔でお礼をいった三匹、まだここまで着ていないのでちょっぴりフライングだったかなと思ってまた三匹で大笑い。 その言葉を聞いた二人の少女は言う。 「あら、それはよかったわ。ねぇパチェリー?」 「そうね」 刹那、ゆっくり魔理沙の思考が止まる。同時に悪寒がはしる。他のふたりは後ろにいるので見ることは出来ないが、おそらく同じことになっているだろう。 「どうしたの、そんなに震えて? 久しぶりに再開したのがそんなに嬉しいのかしら?」 依然見たそれとは違うとても感情のある笑顔だった。まるで心から再開を喜んでいるような。 「おっ、おねえさんどうしてここにいるの?」 もっともだ、確かゆっくりレティが食べた筈。 「食べられたから?」 先ほどとは一転感情も抑揚も無い声。 「やっぱり、あなた達は頭が悪いのね。以前貴方と一緒に見た光景を忘れるなんて、ねぇ」 ゆっくり魔理沙が思い出した光景自分達の仲間がゆっくりレティに食べられる光景、しかしあまりに衝撃的でその後は覚えていなかった。 「本当に覚えていないのね。せっかく一緒にお出かけしたのに……」 いつの間にか彼女の方に乗っていた上海人形が両手で顔を覆う。 「あのおおきなゆっくりが寝込んだら後ろに穴を開けて絞り出したのよ。まぁ、私も一回見ただけだったから上手く出来るか判らなかったけれど魔法で眠らせて人形で穴を開けたら直ぐに開いたわ。さすがに疲れたからパチェの所に着いたら直ぐ眠ってしまったけれど」 愕然とした表情のゆっくり魔理沙。確かに暫く経った後、戻ってみたらレティは眠っていた。てっきり食べて眠くなったんだとばかり思っていたのに。 アリスは更に話を続ける。 「あなた達に襲われた時、万が一の為に蓬莱に手紙を持たせてここに向かわせたの。内容は、家に天然のゆっくりが数種類いるから頃合をみて捕獲して構いません、こんな感じね、頃合はパチェリーが見てくれていたの、初めは魔理沙に無理やり連れて行かれたように装ってね。あっ、そうそう私は今までずっとヴワル図書館にいたの、だって壊れた上海を直さないといけないでしょ。初め壊された時は本当にムカついたわ、お友達を大型カッターに固定してあなたを重石にして切り刻もうかと思ったくらいよ、でも幸い式の部分は無事だったから許すけど。もう悪戯しちゃだめよ♪ 丸々一年もかかっちゃったんだから、おかげでずっと篭りっきりだったんだから私、でもやっぱり図書館はよかったわ、色々な魔道書もあるし、それに」 早口言葉のように一気に話した後、何か出来事を思い出しているように黙り込んだ後。 「小悪魔から色々な話も聞けたしね」 余程為になったのだろう話した後も何度も反芻するように頷いている。 「お、おねえさんが連れて行くの?」 と、ゆっくり霊夢。彼女は寝ている時に餡を取り出された為殆ど記憶が無い、故にまだ好奇心の方が高いのである。 「そうよ、久しぶりのお家ね、私も楽しみだわ。あぁ、あなたには悪いことをしたわね、人形が勝手に悪戯していたみたいで、私はお庭で遊んでいらっしゃいって言っただけなのに。それより、あなた達は食べ物何が好き?何でも作ってあげるわよ」 「おねえさんとは帰らないよ。魔理沙が来るまでゆっくりするよ!!!」 そうだ、魔理沙がきたら助けてくれる。今までは怖かったから本当の事は話してなかったけど、ちゃんと話そうゆっくり話せば判ってくれるよ。 「あらあらわがまま言っちゃだめよ」 そんな希望も。 「だって」 打ち砕かれる。 「魔理沙には一年前に言ってあるもの、ゆくりたちが住み着いたから暫く家を譲る、恐縮させるといけないから居なくなった様に振舞ってねっ、て」 だけど家に帰ればまた仲間が助けてくれる。 いや、今度は自分から立ち向かおう何度も頼りっぱなしじゃいけない。 「それに、パチェにゆっくり達を見て貰ってるって言ったでしょ」 アリスが一緒にいた男から紙を受け取った、数字が何個も書いてある紙だ。 「あら、こんなにいいんですか? これだけ有れば家の補修に遣ってもかなり余裕がありますよ」 「いえいえ、こちらも貴重な天然モノ、しかも数種類卸してもらったのですから、この位は当然です。あぁ、今回の三匹のお預かり代も無料で結構です」 もちろん三匹には聞こえない声で、これも別に聞こえても良いのだが、小悪魔がまだ言わない方がいいですよ、と言っていたからだ。 「あの時きちんとみんなにいってたら良かったのにね」 その言葉の意味が判らないまま鍵が開けられた。他の二匹も状況が摘めていないらしい。 隣の扉も開かれた様だ、パチェリーが預けていたのだろう。れみりゃ種に体が着いているような生物。檻の札には「希少種」と書かれている。 檻の中にはお菓子が散乱していたがどれも余り手を付けていないようだ。 「まぁ、今まで屋敷で食べていたお菓子に比べたら味は落ちるでしょうけど、これからはこれで我慢しなくちゃいけないのよ。……レミィ」 「まるで私の料理が下手って言っている様ね。……まぁ良いわ、さぁお家に帰りましょう」 ゆっくり魔理沙を抱きかかえるアリスパチュリーも魔法でも使っているのだろうか、それとも着やせした胸にでも上手く乗せているのか、ゆっくりれみりゃを抱きかかえて並んで歩く。 どうやら今日は一緒にアリスの家に向かうようだ。他の二匹は先ほどの言葉が効いたのか嬉しそうに跡をつけている。 「あぁそれと魔理沙、まだ帰りたくなって言ってると……」 知っている扉が開かれる。中も以前と同じだった。そういえばあの男は預かる仕事もしていると言っていた。 「……そう、大人しくしていなさい抱えてる方も楽じゃないんだから」 とても優しい笑顔だった。 ……やっぱり逃げるのは無理だったようだ。 いま、ゆっくり魔理沙は他の仲間が助けてくれることと、本当にアリスが優しくなったかもしれないという希望に賭けるしかないと思った。 please wait next story
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1463.html
俺設定+初書き注意。 ゆっくりが幻想郷に現れて数年、中身が餡子やクリームなどの優秀な甘味料であるゆっくりは村人たちの生活を豊かなものとした。 研究により恐怖を与えるほど美味しい中身になるという結果、虐待お兄さんの手により加工所が設立され、ゆっくりを納品するゆっくりハンターなどの新たな職業が現れた。 幻想郷は変わった。 飢え死にする者もなく、日々のストレスは虐待で晴らし、畑仕事はゆっくりにやらせ、人々はゆっくり安心した生活を送っている。 ただ一つを除いて 様々な恩恵をもたらしたゆっくり出現であるが、一つだけ人々を不快にさせる点があった。 ゆっくりリグルの存在である。 その姿は外の世界のペットボトルの蓋ほどの大きさであるが、這いずるような形であるのにもかかわらず、カサカサと素早く動き生ゴミや糞尿にたかる様は人類誕生から根ざす生理的嫌悪を呼び起させる。 モデルとなった人物には同情せざるをえないが、その中でも一番の特徴はゆっくりできないゆっくりを見つけると卵を産みつけたり集団で襲いかかることである。 ある日労働力として飼っていたゆっくりから皮を突き破り大量のゆっくリグルが這い出してきたという報告もあった。 豪胆なものは素手で握りつぶしたり、スリッパや天狗の新聞紙で叩き潰す者もいるが、不潔なイメージとその際飛び散る中身の黒蜜の処理から敬遠するものがほとんどである。 そんなゆっくリグルに対し、巨大な総合ゆっくり商社と成長した加工所は様々な駆除グッズを販売している。 粘着シートの上に連中の好む玉葱の香りの餌を置き捕えるゆっくりホイホイなどあるが、その中でも人気なのは毒を仕込む逝くバットである。 使い方は至って簡単。 ゆっくり1匹を用意し、加工所で販売している特製の毒を食べさせるのである。誘引剤として毒を食べさせたゆっくりは、放っておくとおよそ一週間ゆっくりできず苦しみもだえ続ける。 そして夜に様子を見に行けば、周辺に潜んでいたゆっくリグルに齧られていく姿を見ることができる。 また毒はゆっくリグルに対しては遅行性であり、集団がゆっくりを完食する十分ほどで効果が現れ、次々ともがき始めキイキイと怨嗟の声を上げながら死んでいくのである。 対象のゆっくリグルの苦しむのが見れる上、誘引剤のゆっくりが悲鳴を上げつつ徐々に齧られ小さくなっていく様子も人気の一つである。 しかし普段匂いのきついものに群がるゆっくリグルはその分嗅覚に優れるため、彼らに見破られないこの毒を開発するのに多くの時間と資金がかかった。 永遠亭の先生が連れてきた、鈴蘭畑を荒らされたという人形が手を貸してくれなかったら完成することはなかったであろう。 だが、これもやがてはやつらに破られる。最新の研究では、ゆっくリグルの環境適応能力の速さは凄まじく、羽を持って空を飛ぶものまで発見された。 毒の効かない個体が現れてもおかしくはない。 我々はこれからも奴らと戦っていかなくてはならない。 終われ めーりんも美味しいネタだが、全く注目されてないリグルきゅんも見て欲しかった。反省はしていない 俺設定 ゆっくりリグル 外皮はきな粉餅で、蛾のような羽持ってんのとか様々な亜種がいる。 個人的にはこいつらに明りに向かう習性持たせて、焚き火に突っ込んできて「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛!!どうしてゆっぐりできないのお゛お゛お゛お゛!!!」て燃え尽きるの書きたかったけど、台詞が書けないので断念。 その場合もこたんの周りとかひでえことになりそうだ 箇条書きのような文章じゃなく、もっと心に訴えかけるイカれたものが書きてえよ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3594.html
注意書き ぬるめです。 笛吹き男とゆっくり あるところにとても不思議な笛を持った男がおりました。 その男が笛を吹けば病人はたちまち元気になり、罪人は改心し、動物はみな争うことをやめました。 今日も男は皆を幸せにするためいろんなところを旅します。 そんな男の前に一匹の傷ついたゆっくりが出てきました。男は聞きました 『いったいどうしたんだい?』 するとゆっくりは答えました。 「おにぃぃざぁぁぁん!!でいぶの、でいぶのおぢびぢゃんだぢが、まりざがぁぁぁぁ!! ねずみざんにだべられぢゃっだのぉぉぉぉぉぉぉ!!ゆぅぅぅぅぅ!!」 このれいむの話よると最近れいむの所属する群にネズミがやってくるようになったそうな。 最初はネズミも少数だったし群にはドスもいるので何とかなったが、やってくるネズミの数はだんだん増えていき、ついにはドスでも対処が仕切れないほどになった。 今群のゆっくりにできることは硬く入り口を固め、ぶるぶる震えながらネズミが去るのを待つことのみなのだとか。 そして昨夜、ついにこのれいむとその番まりさのおうちにネズミが侵入した。 おうちにはこの2匹と5匹の赤ゆっくりが居たそうだがれいむ、まりさの善戦むなしく赤ゆっくりは全滅。その後 なんとかまりさが囮になってれいむは逃げ出すことに成功したのだとか。 そして朝になっておうちに戻ってみるとそこには無残に食い殺されたまりさの皮と帽子。そして赤ゆっくりのものと思われるリボンと帽子が転がっていた。 れいむはドスに仇を討って欲しいと頼んだが小さく、強い歯を持ち、大群で襲ってくるネズミには力はあっても動きの遅いドスでは太刀打ちできない。 なので悲しいだろうが耐えて欲しいとの事だった。しかし納得できないれいむは群を飛び出した。 しかし飛び出したはいいが一匹でどうにでもなるものでもないことはいかなれいむにでも理解できたらしい。 そして途方にくれているところにこの男が現れたということだった。 ゆっくりがこういったことで滅ぶことは自然界では珍しくない。 力も弱く、足も遅い、しかし栄養価は高いゆっくりは雑食性の動物にとっては格好の獲物なのである。 「おにいさん、おねがいします!!れいむの、れいむのおちびちゃんたちとまりさのこどもたちのかたきをとってください!!」 男はれいむの言葉にいたく感動しました。子を思う親の心、それは男にとって何物にも変えがたい美しいものだったのです。 しかし、心の優しいこの男にネズミを殺すことはできません。なので殺すことはせず少し遠いところに移動してもらうことにしました。 その日の深夜、男は群のドスに許可を貰い群で一番大きな洞窟の中で息を潜めていました。 ネズミは大変用心深い生き物です。すこしでも群に変わった様子があってはいけないのです。 ガサガサッ・・・ガサガサッ・・・ なにかが動く音が聞こえます。 「ゆ!ねずみさんだよ!!」 どこかのゆっくりが叫びました。 男は岩の陰から様子を伺います。するといるわいるわ、何百匹というネズミがひしめき合ってまるで黒いじゅうたんのようです。 男は急いで笛を取り出すと精神を集中させ、曲を吹き始めました。 ♪~~♪~♪~~♪♪~♪~ なんともいえない美しい音色が森に響き渡ります。 その音につられネズミ達も行進を止め笛の音を聞き入っています。無論ゆっくりたちも。 そして男はそのまま歩き始めます。するとネズミ達も音に釣られて歩き始めました。 しかし、どういう仕組みなのかわかりませんがゆっくりたちはそのまま眠ってしまいました。 そしてだんだんとゆっくりたちの群からネズミ達を遠ざけていきついにはネズミ達を他の森につれていってしまいました。 朝になって男が森に戻りゆっくりたちにそのことを伝えるとゆっくりは男に深く感謝した。 「おにいさんありがとうね!!これでれいむもゆっくりできるよ!!ところでれいむはおなかがへってるよ!!おかしちょうだいね!!」 「おにいさんはすごいんだぜ!まりささまのこぶんにしてあげてもいいんだぜ!!」 「おにいさんはとってもとかいはね!!とかいはなありすがともだちになってあげても・・・い、いいわよ!!」 次々とお礼の言葉を述べるゆっくりたち。 そのなかには当然あのれいむいた。 「おにいさん、おにいさんのおかげでゆっくりすることができるよ・・・まりさもおちびちゃんたちもかえってこないけどれいむはまりさたちのぶんもゆっくりするよ・・・ゆぅぅぅぅ!!」 ドスも男に感謝の言葉を述べ、しばらくここにいてほしいと男を誘った。 しかし男は元々の目的地に行かねばならなかったので丁重にお断りした。 『ゆ、それはとてもざんねんだよ。またちかくにくることがあったらあそびにきてね!!ドスはおにいさんをかんげいするよ!!』 「「「「「ゆっくりまってるよ!!!」」」」」 男はとてもいい気分で群を去った。 森から少し行くと男は町に着いた。どうやらここが困りごとの有る町のようだ。 町に入るとさっそく町長が男を出迎えた。男は尋ねる。 『いったいなにがあったんですか?』 すると町長は歯切れ悪くこう答えました。 「ええ、笛吹きさん。実は困ったことがあるにはあったんですが最近ではめっきりその被害が収まりまして。それで~その~・・・」 なんと、笛吹きの男が町に来るまでに困りごとは解決していたのです! ああ、なんということでしょう!ここまで何日も歩いてきたのに!! しかし優しい男はここまでの苦労などなかったかのような笑顔を浮かべ 『町長さん、お気になさらないでください。僕はみなさんが幸せならそれでいいんです。それが幸せなんです。』 と言った。 町長もつられて笑顔になりこう言った。 「笛吹きさん、ありがとうございます。せっかくここまできていただいたのでささやかですが宴会を用意しております。 今日は楽しんでいってください。」 その日は村中で大賑わいだった。ご馳走とまではいえないまでも心の篭った料理、陽気な男、そして女達の踊り。 そしてなにより男の笛が場を盛り上げていった。その日は皆多いに飲み、そして食べた。 そして次の日。 男が用意された宿の寝床から起きるとすでに日は高く上っていた。どうやら昨日飲みすぎたようだ。 宿の窓から外を見ると町の人もなにやら忙しそうに動き回っている。 いや、何かおかしい。どうにも皆いつもの仕事風景と言うよりはなにか不測の事態が起きたような慌てっぷりである。 コレは何かあると男は素早く着替えた。 すると調度いいタイミングで町長がやってきた。 「笛吹きさん、大変です。すぐ町の入り口までお越しください。」 どうやらかなりの大事のようだ。一体なにがあったのでしょうか。 男が町の入り口に着くとそこにはたくさんのゆっくりがおりました。大きなドスもいます。 男は言います。 『君たち、ここは人間の町だよ。早く森にお帰りなさい。』 しかしゆっくりたちは 「ゆふん、そんなのしらないよ!ばかなにんげんさんはさっさとまりさたちにごはんをもってきてね!!」 と、聞く耳を持ちません。 そこに町長が男に声をかけます。 「笛吹きさん、こいつらは悪いゆっくりです。最近は見かけなくなったとおもったのにまたあらわれたのです。 力づくで食べ物を持っていこうとするんです。どうか退治して下さい。」 そう、町の人が笛吹き男に頼もうとしていたのはゆっくりの駆除だったのです。 しかし、優しい男は何とかゆっくりを説得しようと頑張ります。 『君たち、町の人が困っているじゃないか。今すぐに森へ戻りなさい。そうすれば私もこの人たちも酷いことはしないから。』 しかしそんな優しい男の言葉などゆっくりにはどこ吹く風。 「うるさいんだぜ!!それにひどいめにあうのはにんげんさんなんだぜ!!それがいやならはやくごはんをだすんだぜ!!」 どうやら酷いゲスの群だったようです。いくら説得しても言うことを聞いてくれません。 仕方ないので男はいつものように遠くに連れて行くために笛を構ました。 すると、 「ゆ、そのふえさんは・・・あのときのおにいさん?」 「「「「「ゆゆゆっ!!」」」」 なんとこのゆっくりたちは昨日男が助けたゆっくりたちだったのです。 そのなかにはあのれいむもおりました。 「おにいさん、ちょうどよかったよ!!このじゃまなにんげんさんたちをきのうのねずみさんみたいにどっかにやっちゃってね!!」 男はショックでした。 やさしい家族思いのれいむだと思っていたのにまさかこんなゲスだったとは。 しかし男は話しかけます。 『君たち、他の人を傷つけるというのはとても悲しいものなんだよ。君たちだってネズミに子供や仲間を殺されて悲しかっただろう?』 しかしれいむはこう言います 「ゆぎぃぃぃ!!れいむたちをあんなゆっくりできないねずみさんといっしょにしないでね!! それにかわいそうなれいむをたすけるのはとうぜんだよ!!そんなこともわからないの?ばかなの?しぬの?」 ヤレヤレ、 男はため息をつき笛をかまえました。 「ゆ、おにいさんやっとれいむたちのいうことがわかったんだね!!さっさとそふえさんでにんげんさんをどっかにつれていってね!!」 れいむがなにかいっていますが男は気にもせず笛を吹き始めます。 ♪~~♪♪~♪~♪~~♪~ 男の自慢の笛は今日もすばらしい音色です。 「ゆふぅ~・・・おにいさんのふえさんはとってもゆっくりできるよぉぉぉ・・・」 ゆっくりも人間もとても満たされた表情です。 そして男はおもむろに森のほうへ歩き始めました。すると続いてゆっくりたちも男に続いて跳ね始めます。 それに気づいたれいむや他のゆっくりは慌て始めます。 「ゆ!おにいさんちがうよ!!れいむたちじゃなくてにんげんさんをどっかにつれていってね!!」 「やめるんだぜ!!さっさとまりささまたちをまちにもどすんだぜ!!」 「こんなのぜんぜんとかいはじゃないわ!!さっさともどしてね!!」 『ドスもおこるよ!!にんげんさん!!早くもどさないとドスパークをおみまいするよ!!』 それを聞いた男は急に曲を変えました。 ♪ーー!!♪♪!!♪ー!!♪♪♪!! それは今までのゆっくりとした曲ではなく、まるで臓腑がシェイクされるような錯覚をおぼえるほど大音量の激しい曲でした。 「ゆぎゃぁぁぁっぁぁっっ!!おっおにいざん!!や、やめっ!!ゆぶげぇぇぇぇ!!」 「ゆびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょびょ!!」 「はげじずぎるわぁっぁっぁぁぁ!!どがいはじゃなぃぃっぃいぃぃ!!」 『どすもぎもぢわるぃっぃぃぃぃぃい!!エレエレエレエレエレエレエレレレレレレ!!』 あまりの衝撃にゆっくり達は次々に中身を吐き出し始めます。 しかしその足はいっこうに止まることはありません。 ほとんど皮になったゆっくりもぺらぺらになりながらもおにいさんの後を着いて来ます。 そしてそのまましばらく歩くとふと男は立ち止まりました。 その頃にはまともに話せるようなゆっくりはほとんどいませんでした。 死んでこそいないもののほぼ虫の息です。 「なんでごごんなごどぉ・・・」 「ゆっぐりでぎないおにいざんはざっざどじねぇ・・・」 「どがいはじゃないぃ・・・ごのいながもの・・・」 『むれのみんながぁ・・・ドスがゆっぐりざぜるはずだっだのにぃ・・・』 おとこは言います。 『君たちは自分がゆっくりすることしか考えていない。昨日は家族思いのれいむのため貪欲なネズミから君たちを救った。 しかしそれは間違いだった。だからここに連れて来た。後は君たちの好きにするといい。』 そういって男は立ち去りました。 『ゆっぐ・・・みんなぁ・・・だいじょうぶぅ・・・』 なんとか動くことのできるドスが他のゆっくりに話しかけます。 「どずぅ・・・だずげでぇ・・・」 「どずぅ・・・あでぃずのとがいはなかみのげがぁ・・・」 どうやらしんではいないようだ。 『みんな、いまはゆっくりしていてね・・・そのうちみんながげんぎになっだらあのまちをおそっでみんなでおいしいものをたべようね・・・』 「そうだねどず・・・あのにんげんざんもごろじでね・・・」 「どずぱーぐでやぎづぐぢでやってほじいんだぜ・・・」 『そうだね・・・だからみんなはやぐげんぎになっで・・・ゆ"っ!?』 ここになってドスが自分達を見つめるなにかの視線に気づいた。 良くは見えないが何か黒くて小さいものがたくさんいるように見える。 一体なんなんだろう?ドスの疑問はすぐ解決することになる。 ガサガサッ・・・ガサガサッ・・・ 「「「「「「「ゆ!ゆぎゃあああああああああ!!ねずみざんだぁぁぁぁっぁぁぁ!!」」」」」」」 そう、ここは昨晩男がネズミを連れて来た場所なのである。 『みんなにげでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』 ドスは叫びます。 しかしここまで傷つきながら跳ねてきたゆっくりにそんなことができるわけがありません。 あっというまにネズミたかられたゆっくりたちはただ食べつくされるのみだった。 「ゆぅぅっぅぅぅぅ!!やべでぇぇええええええ!!れいむはおいしくないぃぃっぃぃぃいい!!」 「やめるんだぜ!!まりささまはおいしくないからあっちのれいむをたべてね・・・ああああどうじでごっぢぐるのぉぉぉぉ!!」 「やめてね!!しんのとかいはならこんなことはしないのよ!!やめでっでいっで・・・ゆぎょぉぉぉぉぉぉぉお!!」 『れいむぅぅぅ!!まりざぁぁぁぁ!!あでぃずぅぅぅぅぅ!!やべろぉぉぉぉ!! はやぐあっぢいげぇぇぇぇ!!』 ドスがドスパークを大きく口を開けます。しかしそこに大量のネズミが押し寄せてしまいドスパークどころか口を閉じることすらできなくなってしまいました。 『ふっ、ふがふが!!ふがふがふっがふがふが!!(やっ、やめてね!!ドスはおこってるんだよ!!)』 そしてねずみたちはそのままドスの体を食い尽くしてしまいました。 『ふぎぅあぁぁぎぎぎぃぃぃぁぁぁあああゆぐぁっ!!ふぎっぎいやぁぁあぁぁ!!』 どうやら他の森の動物達も甘いにおいにつられて集まってきたようです。 これで一匹たりともゆっくりが逃げることは無いでしょう。 しばらくするとたくさんのゆっくりたちがいたそこには少しばかりの黒いシミと大きくてぼろぼろの帽子。 そして様々な色と形のちいさな飾りしかありませんでした。 男は町にもどりゆっくりを退治したことを伝えました。 町の人は大喜び。あらためて笛吹きの男に感謝の言葉を伝えたのでした。 そして後日男が再び出ることになると皆悲しみ沢山のお土産を持たせてくれたのでした。 男はかばんをはちきらせんがばかりにぎゅうぎゅうにして町の人に感謝しながら町をあとにしました。 男はとてもいい気分でした。 そして少し歩くと茂みから何かが飛び出してきました。 「ゆっくりしていってね!!!」 それはゆっくりれいむでした。 男はなにもいわず笛を構えます。そしてまた曲を吹きます。 ♪~~♪♪~♪~♪~~♪~ 「ゆぅ~なんだかゆっくりできるよぉ~・・・」 そのままれいむは群のほうまで跳ねてきてしまいました。そして男の笛につられ沢山のゆっくりが出てきます。 「ゆ~とってもゆっくりできるね~・・・」 「ゆ~ゆ~ゆゆ~♪」 そしてそのまま男は歩き始めます。 「ゆゆ!おにいさんまってね!!ゆっくりついていくよ!!」 「ゆ~おにいさんゆっくりうごいてね~♪」 そしてしばらく男が歩くとそこでぴたりと歩を止めました。 しかしゆっくりたちの足はとまりません。 「ゆ?あしがとまらないよ。」 「ゆ!ほんとだよ!!おにいさんふえをとめてね!!ゆっくりできないよ!!」 そしてその先にはそこそこ大きな池があります。 「ゆああああ!!とめてえええええええ!!れいむがとけちゃううううう!!」 「いけにおちたらゆっくりできないいいいいいい!!はやくとめてねぇぇぇぇ!!」 しかし男の笛は止まりません。そしてゆっくりたちは次々と池に落ちていきました。 「やだぁっぁぁぁぁ!!でいぶのがらだがぁぁぁぁぁ!!もっ・・・ゆっぐり・・・じだがっだよぉぉぉぉ!!」 「だ、だずげ!!おにいざんはやくそっちにあげ・・・ぶくぶくぶく。」 全てのゆっくりが池に落ちたのを見届けると男は演奏をやめました。 その時の笛吹き男はとてもいい笑顔をしていました。 あとがき 童話風の話を書きたかったんですがまだまだですね。 楽しんでくれた方がいれば嬉しいです。 ところでどうでもいい話なんですがドスの放つ光線ってドスパークなんですかね?それともドススパーク? SS見てると両方あるので少し気になったんですが・・・まあどうでもいいですね。 作者 甘党 今まで書いたもの ゆっくりコールドスリープ ゆっくりを効率的に全滅させるには。 ユマンジュゥ きれいなゆっくりの作り方 ゆっくり達のバザール ゆっクエ あるゆっくり達の冬篭りと甘い罠 ラジコンうーぱっく
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ゆっくりとゆっくりする私。 ある日、私はゆっくりを拾った。 別になんて事無い、ありふれたゆっくりれいむだ。 雨の日だったなんてことも無く、全身怪我だらけなんてことも無く。 ただ、まだ小さいのに何故か親の姿は無く、一匹だけ。 それだけが私の気になったのだ。 私だって言いたく無いが珍しくも寂しい女の一人暮らし。 親は前に死んだが、働かねば生きてはいけない。 親の残した畑があるだけマシかもしれないが、それでも一人身は自由の反面、色々辛い事も寂しい事もある。 だから、私は同居人が欲しかったのかもしれない。 ある日、私はゆっくりを拾った。 「ゅー!」 私の手のひらよりちょっと小さいくらい、まさに手乗りゆっくり。 大きな瞳と小さな泣き声。 おお、こりゃかわいい。 試しに右の手のひらから左の手のひらへ。 今度は左から右へ。 また逆へ。 ころころころころ。ころころころころ。 …………あぁ、至福! 「ゅー!」 あ、顔真っ赤にしてる。涙目だ。これで怒ってるつもりなのか…… ……正直こりゃたまらん!!! おっといかん。 遊ぶのも良いが、まずは何か食事を与えてやらねば。 でも何食べるんだろ。 雑食だって言ってたよなぁ。 とりあえずおせんべを砕いて、水につけてからあげてみる。 あむ。 「おいちー!」 ふああああ食べてる食べてるいやああああああ口が小さい動きが早いわうおおおおおおおたまんねぇええええええ 「もっとー!」 うん、もっと。私ももっと見ていたいわ。 さっきよりはちょっと少なめにしよう。 あむあむあむあむあむあむあむあむ ふあーふあーふあーなんだこの癒し。 待つ事しばし。 私が見ている前で、ゆっくりはおせんべを食べ終えた。 あらま頬に付いてるわ。ふきふき。 はぁ、かわいかった。これだけでなんかもう疲れが取れるわホント。 さて、次はどうするか。寝床も作らねばならないだろうけど、まずはその前に。 食べ終わってゆっくりしている所をえいやと捕獲。 「はーい、逃げないでね~大丈夫でちゅよ~」 「ゅー! やめちぇ~!!」 ゆっくりを乗せた手の上、その指の間に必死で潜り込もうとする。 まずいなんだこの生き物冗談じゃない私が先に悶え死んでしまう! とは言うものの、見つけたときから気になっていた事があったので私が死ぬ前にそっちをなんとかしてやらねば。 名前の元からすれば多分?女の子だろうからね。 ゆっくりと言えども汚れてちゃいけない。 しかし。う~ん。饅頭だって言うし、お風呂はいかんよなぁ。 と言う訳で、ちょっと濡らしたふきんを用意。 優しく軽く拭いてやる。 最初は何をされるかと怖がっていたのか手の上を逃げ回って(と思う。実際は左右にもぞもぞぷりぷり揺れてただけだ)いたが、しばらくするとされるがままになっていた。 顔もそっと……うあー思いっきり目つむってる。眉間の小さい皺までかわいいなぁこんちくしょう。 リボンも拭いてやって、よし終了。 ゆっくり床の上に置いてやれば、溢れんばかりの笑顔でぴょんと跳ねて、 「すっきりー!」 私の方がすっきりだ。何か心の汚れが落ちていくようですよありがとうゆっくりを生み出した神様。 さぁ、あとは寝床探しだ。 ちんまいから探している間に居なくなったりされると困る。 とりあえずひっくり返したどんぶりの下に。 ああすぐ戻ってくるからそんな涙目にならないでねちょっと我慢してね。 小さいからお菓子の箱とかでもいいのかなぁ。 饅頭をお菓子の箱に入れるってなんか危ないよなぁ。ま、いいか。 うーん、どれにしよう。可愛いのが良いよなぁ、やっぱり。 選ぶ事しばし。これだと決めて部屋に戻ってどんぶりを開けると。 「あやややややややややややややややややや」 寝てた。 ……うぉー。なんかもうどうでも良くなってきたぞ。 とりあえず起こさないように箱に入れて、上からタオルをかけてやる。 よし、今日の空を見る限り、明日は雨っぽいから畑に出なくても良いだろう。 畑仕事は休んで上白沢先生に育て方を聞いてみるか。 あと名前だ。……いるのかなぁ。 みんなれいむはれいむ、まりさはまりさとかしか呼んでないけど、こいつらもそれで認識してるみたいだしなぁ。 それに、それに………… 枕元に置いた箱を見ながらいろんな事を考えていたら、私にも眠気が襲ってきた。 私はそっと部屋の明かりを消す。 おやすみ、ゆっくり。 まさにゆっくりですね。乙でした! -- 名無しさん (2009-03-11 07 51 47) 身悶えせんばかりの可愛らしさですね!♪ -- 名無しさん (2009-03-12 10 49 38) ゆっくちできたよ! -- 名無しさん (2010-11-27 13 19 29) あらかわいい -- 名無しさん (2012-07-25 18 36 47) おもちかえりぃ! -- 名無しさん (2012-08-10 22 29 19) サンジ野気持ちがわかった・・・ -- 名無しさん (2012-12-13 06 48 27) 文章だけで伝わるゆっくりの可愛さ!愛で派でよかったと思う俺がいる -- 名無しさん (2017-03-06 23 11 49) 名前 コメント
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「厳しいゆっくり」 そのゆっくり一家の様子は、普通とは何かが違っていた。 一家を率いるのはバレーボールサイズのゆっくりまりさ。そこは何もおかしくない。 ついていくのはゆっくりまりさとゆっくりれいむ。数は大体半々ぐらい。そこもおかしくない。 普通とは何が違うのか…その違いは、話しかけてみて始めて分かった。 「ゆっくりしていってね!!」 ゆっくりの本能を深く揺さぶる、僕の一声。 普通なら、この言葉に反応しないわけがなかった。ところが… 「……ゆっ!」「…ゆ!」 子供たちは皆、少し声を漏らしただけ。 何か言いたげな顔はしているが、『ゆっくりしていってね!!』という元気な返事は返ってこなかった。 「おにーさん!!まりさたちはほかのばしょでゆっくりするからね!! なにもようがないなら、まりさたちはもうゆっくりいくよ!!」 先頭に立っている母まりさが、僕に向かって言ってくる。 こいつからも元気な返事はない。おかしいな…こいつら病気なのか? 試しに、もうちょっと揺さぶってみるか。 「まりさ、どこに行くのか知らないが、お兄さんはもっとゆっくり出来る場所を知ってるよ」 「ゆ!?そうなの!?ゆっくりちゅれていってね!!」「れいむもゆっくりしたいよ!!」 もう我慢できない、と言わんばかりに子ゆっくりたちが口を開いた。 そうそう、それが普通の反応である。だが、母まりさは普通ではなかった。 「ゆ!!そんなこというとゆっくりできないよ!!」 「ゆ゛!!」「びゃっ!!」 何も悪いことをしていないのに、母まりさに突き飛ばされた子ゆっくりたち。 転がるほどの勢いも、皮が破れるほどの破壊力もない、ただ痛いだけの攻撃だった。 子供たちは涙目で何かを無言で訴えてくるが、僕にも母まりさにも…何も伝わらない。 「おにーさん!!わるいけどまりさたちはゆっくりいそいでるからね!!じゃましないでね!!」 そう言い放つと、母まりさはとっとと先へ進んでいってしまった。 子供たちだけが、僕を名残惜しそうに見上げていたが… 「…ゆっくりしすぎだよ!!」 母の一言で、子供たちは飛び上がるようにして母の後を追いかけていった。 あの母まりさ、どう考えても普通じゃない。 『ゆっくりしていってね!!』『もっとゆっくり出来る場所がある』という二つの言葉。 ゆっくりの本能を最も刺激するはずの言葉に、母まりさは釣られなかった。 突然変異なのか、それとも病気なのか… 「こいつは面白そうだな…」 どちらにしても、この面白そうなネタを放っておくわけにはいかない。 僕は先ほどの一家をゆっくり追いかけることにした。 一家の巣はすぐに見つかった。木の根元に、精妙にカムフラージュされた大きな穴だ。 決して大きな穴ではないが、母まりさ+数匹の子ゆっくりなら十分な広さだろう。 僕は静かに巣穴に近づいて、隙間から中を覗いてみた。 「にんげんにはなしかけられても、しゃべっちゃだめっていったよね!!」 「ゆびゃああああぁぁl!!」 「みんな、おかーさんとのやくそくやぶってしゃべっちゃったよね!!」 「ぎゅべぇおおおおお!!」 「やくそくをやぶったわるいこはゆっくりできないよ!!おしおきだよ!!」 「あぎゅあああぁっぁ!!!」 合計5匹の子ゆっくりが一列に並んでいる。 よく見れば子ゆっくりというより、赤ちゃんゆっくりぐらいの大きさだ。 母まりさは、何か言葉を発するごとに子ゆっくりに一匹ずつ体当たりを食らわせる。 その勢いは母まりさの怒りに比例して強くなり…最後に体当たりされた子れいむは、壁にぶつかると口から 餡子を大量に吐き出してしまった。 ゆっくりにとって、命の源である餡子を吐き出すことは一大事だ。 処置を怠れば、死に至ることだってある。それは子ゆっくりもよく知っていた。 「うぶっ!!ゆべえええぇっぇぇえ゛え゛え゛ぇぇぇあ゛あ゛あ゛ぃ!!!!」 「ゆゆ!!おかーさん!!れいむが!!れいむがゆっきゅりできなくなっちゃうよ!!」 「ゆっくりたしゅけてあげてね!!ゆっくりなおしてあげてね!!」 周りの子ゆっくりたちが、必死に母親に助けを求める。 だが、母まりさは鼻で笑いつつこう言い返した。 「ふん!やくそくをまもれないバカなこは、ずっとそうしてゆっくりしてればいいよ!! みんなもやくそくやぶるとこうなっちゃうからね!!ゆっくりりかいしてね!!」 自分の仕事を成し遂げたと思っているのか、母まりさの顔は満足げだ。 それに対して、子ゆっくりたちの表情は完全に沈んでしまっている。 「子供を虐めるなんて…酷い母親だなぁ」 僕はくすくすと笑いながら、そのまま様子を観察し続けた。 母が食料を取りに出かけた後、しばらくして先ほど餡子を吐いた子れいむが目を覚ました。 「ゆ…ゆううぅぅ……!」 「ゆ!ゆっくりおきてね!!」「ゆっくりしていってね!!」 周りで見守っていた子ゆっくりたちが喜びの声を上げる。 気絶していた子れいむは特に外傷はないらしく、次第に元気を取り戻してゆっくりし始めた。 僕は母まりさがいなくなった今しかないと思い、巣穴に首を突っ込んだ。 「やあ!ゆっくりしていってね!!」 「ゆ?ゆっくりしていってね!!」 今度は5匹の子ゆっくり全員が応えてくれた。 やっぱり、普通じゃなかったのはあの母まりさに原因がありそうだ。 「さっきのおにーさん!!どうしたの!?」 「ここはれいむたちのおうちだよ!!ここでゆっくりすると、おかーしゃんにおこられちゃうよ!!」 怒られるというのは…たぶん“やくそく”のことだろう。 先ほどの様子からしてこの子ゆっくりたちは、母まりさと幾つか約束を交わしているらしい。 それらを破ると、先ほどのように罰を受ける…命に関わりかねない罰を。 つくづく理不尽な母親である。自分の都合を押し付けて、破ったら虐待だなんて。 「大丈夫だよ。すぐに出て行くからね。それより、皆に美味しい食べ物を持ってきたよ」 「ゆ!?たべもの!!ほちいよ!!ゆっくりちょうだい!!」「ちょうだいちょうだい!!」 クッキーを放り込んでやると、5匹の子ゆっくりは一斉に群がって貪り始めた。 母との約束という重圧を忘れた5匹は、本能に忠実な普通のゆっくりだった。 「ゆはっ!!うっめ!!めっちゃうっめ!!」「むーしゃむーしゃ!!しあわせー♪」 「じゃあお兄さんはもう行くからね。みんなはゆっくりしていってね!!」 って、食べ物に夢中だからたぶん聞こえてないな。 僕は食事を邪魔しないよう、追加のクッキーを数十枚放り込んで、静かにその場から立ち去った。 後ろからは、クッキーを貪り食う子ゆっくりの下品な声が聞こえてくる。 母まりさが帰ってくる頃に戻ってきて、“あれ”を実行することにしよう。 帰ってきた母まりさは、巣の中の様子に驚愕した。 一面を埋め尽くす見慣れぬ食べ物。それを美味しそうに食べている5匹の子供たち。 「ゆ!おかーしゃんおかえりなさい!!」「みんなでゆっくりしようね!!」 口の周りに食べかすをつけた子供たちが、出迎えの挨拶をする。 だが、母まりさはそれに応えない。 「これはだれからもらったの!?ゆっくりせつめいしてね!!」 母まりさの疑問は当然のものだった。子供たちが自力で食料を集められるわけがない。 しかも、5匹が食べきれないほどの量だ。母まりさだって、これだけの量を集めるのには2週間はかかる。 つまり当然の結論…『この食べ物は、誰かからもらった』 「ゆ……と、ともだちのまりさにもらったんだよ!!」「そ、そうだよ!!」 「うそをつかないでね!!にんげんからもらったにきまってるよ!!」 「ゆ゛!?」 母が真相を口にした瞬間、子供たちは固まってしまった。 “恐怖”…生まれたときから植えつけられてきた感情、たった一つに縛り付けられて。 約束を破ったことが母にバレた…その次に待っているのは、無慈悲な“罰”であることを知っているから。 横一列に、背を壁に向けて並べられた子供たち。 自分達のこれからを想像して、がたがたと震えている。 されることはいつもと同じ。だが、未だにその痛みに慣れることが出来ない。 「やくそくをやぶったらゆっくりできないよ!!」 「ゆぎゃああ゛あ゛ぁぁ!!」 「やくそくやぶるこは、おかーさんのこどもじゃないよ!!」 「ごみんあじゃあぁぁぁい゛い゛!!」 「にんげんとはゆっくりできないよ!!ゆっくりおぼえてね!!」 「もうゆるじでええぇぇぇぇえ゛!!」 「にんげんはわるいものだよ!!ぜったいゆっくりしちゃだめだよ!!」 「うがやおああおおおおぉおぉぉ!!」 壁と母まりさの身体で挟み撃ちにされる度に、悲痛な叫びを上げる子ゆっくりたち。 何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も。 繰り返し繰り返し、母まりさは5匹の子ゆっくりに順番に体当たりする。 『人間とはゆっくりできない』『人間と一緒にゆっくりしたら二度とゆっくりできなくなる』 全ては理解してもらうため。このことを理解して、覚えてもらうためだ。 自分は母に人間の危険性を教えてもらっても、すぐに忘れてしまった。 そして人間についていったばっかりに、友達を皆食べられてしまった…そんな自分の二の舞にならないように。 子供たちには忘れて欲しくない。ずっと覚えていて欲しい。だってそうしないとゆっくりできないのだから。 「がまんしてね!!がまんしてゆっくりできるこになってね!!」 「げりょうあおあおあおあおああああああ!!!」 母まりさは、何度も何度も、子ゆっくりたちに伝わることを願って…体当たりを続けた。 昼になって、例の巣に戻ってきて見ると…巣の中では再び虐待が行われていた。 母まりさが子ゆっくりに体当たりするたびに、張り裂けんばかりの悲鳴が僕の耳を突く。 「うぎゃあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁぁぁ!!!」 「ぎゅええええべべべべええ!!!」 「あばばばばあああああぁぁぁぁあ!!」 何故だか分からないが、母まりさは相当怒っているらしい。 母まりさの言葉は乱れすぎていて何と言っているか聞き取れないが…かなりノリノリである。 待てど暮らせど、虐待の嵐はなかなか止まない…痺れを切らした僕は、釣り針を握るとそっと巣の中に手を 突っ込んだ。 「……よし」 虐待に夢中になっている母まりさは、自分の帽子に釣り針が刺さったことに気づいていない。 子ゆっくりたちも、すっかり怯えきってしまって周りの様子など目に入っていなかった。 僕は、糸を思いっきり引っ張った。それに従って、母まりさの帽子が脱げて瞬く間に巣の外へ飛んでいく。 「ゆ!!まりさのぼうし!!ゆっくりまってね!!」 即座に異変に気づいた母まりさは、帽子を追って巣の外へ。 終わりなき虐待から開放された子ゆっくりたちも、安堵の表情を浮かべながら恐る恐るついてくる。 「おにーさん!!それはまりさのぼうしだよ!!ゆっくりかえしてね!!」 糸にぶら下がった帽子をぶらぶら振り回す僕。 まりさは必死にジャンプしてそれを口で咥え取ろうとするが、ぎりぎり届かない高さに調節しているので、 どんなに頑張っても…帽子まで後一歩、というところで勢いを失ってしまう。 「ゆぎゅうううぅぅぅ!!ゆっぐりがえじでね゛!!がえざないどゆっぐりざぜであげないよ゛!!」 「あっそう、じゃあ返してあげるよ、ほーれほーれ♪」 上から目線で物を言う母まりさを、僕は満面の笑みでおちょくる。 ぶんぶん振り回される帽子を目で追いながら、あんぐりと口を開けて狙いを済まして… 命と同じくらい大事な帽子を奪い返そうと、必死にピョンピョン跳ね続けている。 「うぎゅうううぅぅぅ!!!いじわるしないでね゛!!ゆっくりがえじでね!!」 ふと、巣の入り口近くにいる子ゆっくりたちに視線を移す。 さっきからじっとこっちを見ているが…母を応援する声は聞こえてこない。 普通の一家なら、『おかーさんがんばってねぇ!!』とか、『おにーさんとはゆっくりできないよ!』の 一言ぐらいあるものだが… つまり、そういうこと。子ゆっくりたちにとって、母まりさは“そういう”存在なのだ。 「お母さんまりさにひとつ提案だよ。子供の帽子かリボンを持ってきたら、この帽子と交換してあげる」 「ゆ!?」 果たして口車に乗って、子供の髪飾りの強奪に乗り出すかどうか… 僕にとっては一種の賭けだったのだが…どうやら僕の勝ちだったようだ。 母まりさは目の色を変えて、巣の入り口に集まっている子ゆっくりたちに襲い掛かった。 「ゆっくりにげないでね!!おかーさんにぼうしとりぼんをちょうだいね!!」 「おがーざんごっじごないでえ゛え゛ぇぇぇ!!!」 「ぞんなごどずるおがーじゃんどはゆっぐりでぎない゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!!」 子ゆっくりにとっても、帽子やリボンは大事なものだ。簡単に取られるわけがない。 母まりさに捕まらぬよう、子ゆっくりたちは蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。 「ゆっくりつかまってね!!にげるこはゆっくりできなくなっちゃうよ!!」 「やだあああぁぁぁぁ!!!づがまるどゆっぐりでぎないよ゛!!」 「おがーざんやめでね゛!!ゆっぐりごっぢにごないでね゛!!」 母と子には体格差があると言っても、命と等価のモノがかかっているこの状況では、子供たちはなかな捕まらない。 実のところ、先ほどのクッキーにはゆっくりの運動能力をちょっとだけ強化する薬物が入っていたのだが… 母まりさも、当の子ゆっくりたちもそのことにはまったく気づいていない。 「おがーざんにぼうしどりぼんちょうだい!!そうすればみんなでゆっぐりでぎるよ゛!!」 なかなか追いつかないので、目に涙を浮かべながら子供を説得しようとする。 しかし、そんな言葉で釣られるほど子ゆっくりは愚かではなかった。 「おがーざんうそづいでるよ!!うそづくおがーじゃんどはゆっぐりでぎないよ゛!!」 「ゆっぐりついてこないでね゛!!ゆっくりどっかいってね゛!!」 「ゆぐぐぐぐぐ…どうじでぞんなごどいうの゛!!ゆっぐりでぎなぐなっでもしらないよ゛!!」 まだまだ子ゆっくりたちには追いつきそうにない母まりさ。 僕は母まりさにもっと必死になってもらうために、ライターで母まりさの帽子に火をつけた。 ボオォッ!! 何の素材で出来ているのかわからないが、本当によく燃える。 「ゆぎゃああああーーー!!!まりさのぼうしもやざないでえ゛え゛え゛ぇぇぇ!!!」 子ゆっくりを追いかけるのを止めて、燃え上がる自分の帽子目掛けて飛びついてくる母まりさ。 だが、僕がうまく糸を動かして帽子をひょいっと遠ざけたので、母まりさはそのまま地面に激突した。 「ゆぶっ!!やめでね゛!!まりざのぼうじもやざないで!!はやぐひをげしでよお゛お゛お゛ぉぉぉ!!!」 「まぁまぁ焦るなって。結構綺麗に燃えてるじゃないか」 地面に顔から落ちて身悶えている隙に、母まりさの髪を釘に結び付けて地面に打ちつけた。 これで母まりさは、ほとんど身動きが取れなくなった。 「ひをげしで!!うぶゅ!!いだい゛!!いだいよ゛!!がみがひっばられでるううぅぅぅぅ!!!」 帽子を燃やされている悔しさと、髪を引っ張られる痛みで…母まりさの顔は涙でボロボロになる。 痛みにのたうち回ろうとすればさらに痛みが襲うので、下手に動けない状況だ。 それでも母まりさは、何度も何度も助けを求める叫び声をあげた。 「まりさをだずげでぇ!!ごのままじゃゆっぐりでぎなぐなる゛!!」 「おねがいだがら!!ごっがらはなぢでえええぇぇえ!!!あだまがいだいいいいぃぃぃい!!!」 「ぼうじ!!まりざのぼうし!!もやざないでよ゛ぅ!!」 「……らんぼうするおかーしゃんは、ずっとそこでゆっくりしてればいいよ!!」 突然、一匹の子れいむが震えながら力いっぱい言い放った。 するとそれに続いて、次々と子ゆっくりたちが母まりさに罵詈雑言を浴びせる。 痛めつけられる母まりさの姿を見て、子ゆっくりたちの心境に変化が生じたのだろう。 母まりさが動けないことに気づいた、というのもあるだろうが。 「そうだそうだ!!おかーしゃんのぼうしなんか、ゆっくりもえちゃえばいいよ!!」 「おかーさんはずっとそこでゆっくりしててね!!こっちにこないでね!!」 「ばかなおかーさんはゆっくりしねばいいよ!!」 「いや゛ああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!ひどいごどいわないでえ゛え゛え゛ええぇぇぇぇえぇえぇ!!!!」 次々に打ち明けられる子ゆっくりたちの本音が、母まりさの心を深く抉る。 今まで母まりさに虐待され続けてきた子ゆっくりの鬱憤が……ここで爆発した。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」 「らんぼうもののおかーさんはゆっくりしね!!」 「れいむたちにいたいことしたよね!!だからおかーさんにもいたいことしゅるよ!!」 身動きの取れない母まりさを取り囲んだ5匹は、怒りを爆発させながら集団リンチを始めた。 つい数分前まで母の虐待に怯えていた子ゆっくり…僕がちょっと手伝ってやっただけで、立場は逆転した。 「いだっ!!いだいよ゛!!ゆっぐりやめでね゛!!やめだらゆっぐりさせてあげるよ゛!!」 「うるさいよ゛!!おかーさんのいうごとなんか、もうきかないよ゛!!」 「おかーさんのせいでいままでゆっくりできなかったよ!!ゆっくりしんでいってね!!」 一体どれだけの間、母まりさに虐待されてきたのだろうか…その間に溜めてきたストレスは相当のものらしい。 容赦ない体当たりが、母まりさの身体を深く傷つけていく。 ところどころ餡子が漏れ出し、さらに傷は広がって痛みを誘発させる。 「あぎゃああああああっぁぁぁあぁ!!やめでやめでやめでやめでやめでやめでやめで!!!! じぬ゛ぅ!!じんじゃう゛!!ごのままじゃじんじゃう゛!!おねがいだがらやめでよおおおおぉぉぉ!!」 母まりさの悲鳴を完全に無視し、リンチを続ける子ゆっくりたち。 僕はそんな子ゆっくりたちに優しく話しかけた。 「そろそろ疲れてこない?お母さんの帽子が燃えてるのを見ながら、ゆっくり休憩しなよ」 「ゆ!そうだね!!ゆっくりつかれてきたよ!!」 「ゆっくりやすもうね!!みんなでゆっくりしようね!!」 「おにーさんあたまいいね!!おかーさんとはおおちがいだよ!!」 そんなことを言いながら、母まりさから離れていく。 取り残された母まりさの姿は…それはもう酷いものだった。 「ゆぶ……どぼぢで…?……まりざはっ…みんなのだめにっ…!!」 目玉は片方が抉られ、口は不細工に引き裂かれ、頬も深く噛み千切られている。 まだ生きているが…このまま餡子を漏らし続ければ、命が尽きるのは時間の問題だ。 「ゆー!きれいだね!!」「ほのおってきれい!!」「ゆっきゅりー!!」 「もえろもえろー♪」「ゆっくりもえろー♪」 炎をあげて燃える母まりさの帽子。それを見つめる子ゆっくりたちの目は輝いている。 やっと母まりさの圧制から解放される。明日からは自由にゆっくり出来る。 掴み取った明るい未来を見据えた…そんな目だ。 僕は糸を木の枝に固定して子ゆっくりたちから離れると、そっと母まりさに近づいた。 「やぁ、気分はどうだい」 「うぎゅ…だじゅげで……ゆっぐりでぎな…いよ…!!」 「でも、子供たちは今までゆっくり出来てなかったんだよ。お母さんである君が虐めていたせいでね」 「うぞだよ!……まりじゃは!…まりじゃは……みんな゛のっ…ために゛…!」 まだ悪あがきを続けている。うねうねと動く母まりさの頬の皮が気持ち悪い。 「みんなのために……ねぇ」 僕はため息をつきながら振り向いて、子ゆっくりたちに声をかけた。 子供たちは糸にぶら下がった帽子が燃えているのを、まだ楽しそうに見物している。 「なぁみんな!!このお母さんどうする?助けてあげる?」 「ゆ?そんなのほっといていいよ!!それよりおにーさんもこっちでゆっくりしようね!!」 「おかーしゃんなんかそのまましねばいいよ!!ゆっくりしんでね!!」 との返答を貰い、そのまま視線を母まりさに戻す。 「…だとさ」 僕は母まりさに向けてニコリと微笑んだ。 母まりさは、僕にとって最高の表情をしたまま…最期の叫び声をあげた。 「ゆ゛っ……ゆぎゃああああぁあぁぁぁぁぁぁぁあがえんrぎなえりおいりあがあrがにrg!!!!」 声にならない叫びをあげたが最後、母まりさは動かなくなった。 子供たちにはずっとゆっくりしてもらいたい。だからこそ、厳しく接してきた。 だが、子供たちには伝わっていなかった。それどころか家族を崩壊させる一因になってしまった。 どうしてこんなことになってしまったのか、自分は間違っていたのだろうか。 母まりさは考える。考える。考える。でもわからない。餡子が足りないからわからない。 子供たちに伝わらなかった想い。伝わらなかった願い。 一生懸命伝えたつもりだった。でも、伝わらなかった。伝えたかったのに、伝わらなかった。 そしてこれからも、その想いと願いは、伝えることはできない… 傍らで笑いあう子供たちの声が、遠くに聞こえる。 母まりさは、ゆっくりと後悔しながら…さいごのいのちを吐き出した。 あとがき この話、本当にかわいそうなのは誰だろう? 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける